#020　終わらない一日

この繰り返しが始まったのはいつからだろう。私はもう何度も、同じ一日を体験している。この日は私にとって人生最悪の日だ。大切な人を失うという、耐え難い悲劇の日。

その朝、彼女と最後の口論をしたのを覚えている。くだらないことで言い争いになり、彼女は家を飛び出した。そしてその後、取り返しのつかない事故が起きるのだ。私は毎回、何とかしてその結末を変えようと試みる。でも、どうしても彼女を救えない。どんなに言葉を選んでも、どんなに自分の行動を変えても、彼女は必ずその運命をたどる。

昨日、いや、何度目かの「昨日」には、もう試す気力さえ失った。ただ部屋の隅で座り込み、「どうしたの？」と戸を叩く聞く彼女を無視して運命が動き出すのをぼんやりとやりすごした。それでも彼女の死は訪れたのだ。私は彼女がいなくなった現実を突きつけられたあと、必ず同じベッドで目覚める。

今日もまた、同じ夕焼けを見ている。この繰り返しに何の意味があるのだろう。もしかしてまだ変えられることがあり、それを私に気づかせようとしている？　私は決意した。この繰り返しの意味を見つけるまで諦めないと。彼女を救う道が本当にないのか、それとも私が気づいていない選択肢がどこかにあるのか。その答えを探すために、私は悲劇の一日を繰り返し歩む。

それでも心の片隅で、こんな問いが浮かんでしまう。もし答えがどこにもなかったら？　繰り返しに意味はなく、だたこの世界に発生したバグだったら？　その時私はどうすればいいのだろう。