ちいさな物語 #084 生活実態調査の実態 ある日、俺のスマホに一通のアンケート結果が届いた。「全国100万人が答えた生活実態調査」なんとなく興味が湧き、結果を眺めてみる。すると、開いた瞬間、思わず「は?」と声を漏らした。——「朝食にワニの肉を食べる人、78%」嘘だろ? そんなものス... 2025.02.27 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #083 廃駅の階段 聞いてくれ、俺はただの階段だ。だけど、俺が見た光景を話したら、きっとお前も興味を持つだろう。この廃駅には、いろんな人間が来るんだ。俺はもう使われなくなった駅の階段。錆びた手すりに苔むした段、それが俺の全てだ。何十年も前に列車が通らなくなって... 2025.02.26 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #082 究極のピザ 「いや、だからパイナップルはピザに合わないんだって!」「お前の方こそ、アンチョビの塩辛さを理解してない!」僕とルームメイトのケンは、ピザのトッピングについて激しく口論していた。もともとは仲のいい大学の同級生だったのに、この問題に関してだけは... 2025.02.26 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #081 転がってゆく先 俺か? 俺はただの空き缶さ。最初はちゃんとした飲み物だった。工場で作られ、店に並び、人間に買われ、そして——飲まれた。そこまではまあ、よくある話だ。問題はその後だ。飲み終わった俺は、ポイッと道端に投げ捨てられてしまった。ガードレールにぶつか... 2025.02.25 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #080 死神の鳥 最初に気づいたのは、駅のホームだった。目の前のサラリーマンの頭に、小さな黒い鳥が止まっていた。カラスのように見えるが、もう少し小さい。それにどこか質感が、違う。まるで影が形を成したような、ふわふわとした不確かな存在だった。周囲の人々は誰も気... 2025.02.25 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #079 乙女ゲーム化した高校生活にモブの俺がツッコミ入れていきますね 「いやいや、ありえないだろ」俺は隣の席で繰り広げられる光景に、思わずツッコミを入れた。ここはごく普通の高校。そしてこの物語のヒロイン——橘ひまりは、決して”かわいい”タイプではない。見た目は普通、性格はどちらかというと生意気。気分屋の猫みた... 2025.02.24 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #078 行列の先にあるもの その日、俺は仕事帰りに駅前の広場を通った。いつもなら通り過ぎるだけの場所なのに、今日は何かがおかしかった。――行列だ。ものすごく長い行列ができている。最初は人気のスイーツでも売っているのかと思った。でも、列に並んでいる人たちはみんなスマホを... 2025.02.24 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #077 雪山で待つ者 山頂を目指していた私は、突如として吹雪に巻き込まれた。冬山では天候の急変が命取りになることを知っていたが、ここまでひどいとは。油断したと認めざるを得ない。視界は数メートル先も見えず、足を踏み出すたびに雪に沈む。体温が奪われ、指の感覚がなくな... 2025.02.23 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #076 回転寿司と回るおじさんの幽霊 回転寿司のレーンに、おじさんが流れていた。寿司の皿に挟まれながら、妙にリラックスした顔をしている。「おっ、トロが来た!」おじさんは隣の皿からトロをつまみ、満足げに頬張った。いや、何食ってんだ。ていうか、なぜ流れてる?俺は周囲を見渡した。だが... 2025.02.23 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #075 マスク社会の裏側で コロナ禍でマスクは社会の必需品になった。コロナ禍がおさまった現在でも街を歩く何人かが口元を隠し、表情が見えなくなる。そのことを不審に感じる者はいない。皆、慣れてしまっていた。そしてある日、気づいたのだ——街には以前よりも活気が満ちていること... 2025.02.22 ちいさな物語不思議な話