異世界の話 #485 小さな光の魔法 この魔法は本当にくだらない。指をパチンと鳴らせば小さな光が灯る。ただそれだけ。熱もないし、眩しさもない。道を照らすにも弱すぎる。見せても笑われるだけだ。手品の一種だと思われているみたいだが、手品にしても地味極まりない。「そんな魔法、ホタルの... 2025.10.21 異世界の話
ちいさな物語 #475 ツッコミは2秒以内 勇者として選ばれたとき、正直、少しだけ泣いた。幼い頃からの夢だったからだ。剣に選ばれ、神託を受け、命に代えても魔王を倒す。それが俺の運命――のはずだった。しかし、初めて仲間と顔を合わせた瞬間、これまでゆるぎなかった自分の運命に疑問を抱いた。... 2025.10.15 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #470 師匠と歩いた五日間 「師匠、さっきも休憩しましたよね?」「うん、したね。でも、また休憩したくなったんだ」いつも通りの返答だった。私は深くため息をついた。私の師匠、フェルディナント・エイグルは、王都でも名の知れた魔法使いだ。いや、一応はそう呼ばれているが、実際は... 2025.10.12 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #467 異世界転移! 防災リュックの中身がチート級で楽勝? 会社の防災訓練。たったそれだけのはずだった。なのに、今俺は剣を握りしめ、火を吐くトカゲみたいな魔物に囲まれている。——なぜこうなったのか。話せば長い。その朝、課長が妙に面倒くさそうに言った。「今日、防災訓練。各部署から一名ずつ参加……だそう... 2025.10.11 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #455 コスプレ異世界転生記 いや、聞いてくれよ。俺さ、まさか本当に異世界転生するとは思ってなかったんだ。トラックに轢かれて気づいたら光に包まれて、あのベタな展開だ。「次に目を覚ましたら魔法と剣の世界で無双するんだろうな」って、頭の片隅で期待してたよ。――で、目を開けた... 2025.10.01 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #450 幻の灯火亭 冒険者ギルドの中では有名な噂があるんだ。「幻の料理屋」ってやつさ。たどり着ける人間だけが味わえる、特別な料理を出す店。信じるやつはほとんどいない。けど、一部の古参冒険者や腕利きの連中が「一度だけ行ったことがある」なんて真顔で語るもんだから、... 2025.09.28 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #442 異世界ニートの変わらぬ日々 あのとき確かに僕は死んだんです。過労死とかじゃなく、ただ家の階段を踏み外して頭を打った。ニュースにもならないような凡庸な死に方でした。そして気づけば光の中にいて、「あなたを異世界に転生させます」という声を聞いたんです。「よし来た!ついに僕の... 2025.09.24 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #436 不思議な旅の教訓 ひとつの不思議な旅の話を聞かせましょう。あるところに三人の冒険者がいました。けれども彼らは出会ったことがない。互いの顔も名も知らず、それどころか存在すら知りません。一番目の冒険者は、若い剣士でした。彼は古い文献に記された「封印の遺跡」を目指... 2025.09.21 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #423 五つの宝と姉弟の旅 今でもあの旅を思い出すと、胸が熱くなるんです。まだ僕と姉が若かった頃の話です。「世界に散らばる五つの宝を集めれば、どんな願いも叶う」――そんな古い伝承を聞いたことがあるでしょう?僕らは、その宝を探す旅に出たんです。理由は単純でした。姉は幼い... 2025.09.15 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #410 ファンタジー世界の名探偵 俺の職業は「名探偵」だ。ファンタジー世界では、普通は戦士とか魔法使いとか僧侶とか、そういう職業を名乗る。ところが俺の場合、なぜか職業欄に「名探偵」と書かれていた。最初は笑い者だったよ。「なんだよそれ、ただの冷やかしじゃないか」「モンスター相... 2025.09.08 ちいさな物語異世界の話