変な話

ちいさな物語

#440 隕石パニック24時

「緊急ニュースです。大きな隕石が地球に衝突します」その一言で世界はひっくり返った。いや、ひっくり返るどころか、激しく転がり始めた。残り時間は24時間。こんなことある? こういうのはもっと前にわかるもんじゃないの?人類最後の一日は、完全にカオ...
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#435 おじさんの中のおじさんたち

あれは本当に妙な夜だったんです。駅前のベンチに腰かけていると、不意に隣におじさんが座ったんですよ。よれよれのスーツ、手に持った紙袋からはパンの匂い。まあ普通のおじさんだと思いました。ところが次の瞬間、そのおじさんの胸元がパカッと開いて、中か...
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#433 唐突にレフェリー&実況

最初にその「連中」を見たのは、駅前のロータリーでした。タクシーの順番を巡って、酔っ払いの中年とサラリーマンが口論していた。どこにでもあるような揉め事です。どっちが先に並んでいたとか、嘘だとか。声を荒らげ、互いに指を突きつけていたその瞬間、聞...
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#431 未来を変えた枝豆

あの日、僕が居酒屋で枝豆をつまんでいただけで、あんなことになるとは思わなかったんです。昼間からビールの泡をすすりながらまったり。何気なく枝豆を押し出した瞬間、豆がつるりと飛び出したんですよ。それがぴゅんと隣の席へ飛んでいって、見知らぬサラリ...
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#429 後ろの行列

あれは、本当に妙な体験だったんですよ。会社帰りにいつもの道を歩いていたら、後ろから足音が聞こえたんです。最初は一人分の気配でした。まあ、夜道だし誰かが同じ方向に歩いているんだろうと気にしませんでした。でも、その足音がぴたりと僕の歩調に合って...
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#428 じぃこと俺の日常

いや聞いてくれ、本当におかしくなったんだと思うんだ。俺は昔からアニメ好きだったんだけど、ここ数年は擬人化作品ばかり追いかけてたんだ。戦艦や競走馬が美少女になったり、武器がイケメンになったり、地名がキャラになったりするだろ? そういうのを追い...
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#420 自販機に選ばれし者

その自販機は、商店街の外れにひっそりと置かれていた。パッと見は普通のドリンク自販機だ。ラインナップもコーラ、緑茶、スポーツドリンク、缶コーヒーと一見なんの変哲もない。しかし、その自販機には奇妙な噂があった。「客を選ぶ」らしいのだ。どういうこ...
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#416 取り扱い注意! 人間充電器

いや、これマジの話なんだけどさ、人間がスマホみたいに充電できるようになったんだよ。最初にニュースでその技術が紹介されたとき、さすがに冗談かと思った。「USB-Cで充電できます!」とかアナウンサーが言ってて、新しいギャグかな、と。でも、数年後...
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#412 値上げの向こう側

「また値上げかよ……」スーパーのカゴに商品を入れるたび、俺の溜息は深くなる。仕事帰り、夜7時過ぎ。自動ドアが「ピンポーン」と鳴ると、これから見るであろう値札を想像し、もうそれだけで気が重い。スーツ姿のままカゴを手に取り、いつものルートを歩く...
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#406 ホラー道場深夜の稽古

真夜中の二時。布団の中で動画を眺めていた俺の前に、唐突にそれは現れた。白い服、長い黒髪。いかにも幽霊という見た目だ。だが、問題は「演技」だった。「う、うら……め……しやぁ……」語尾が上ずり、間の取り方も悪い。足はしっかり床についており、ただ...