ちいさな物語 #392 都市伝説を考える会 先週の金曜、友人に妙な会合に連れて行かれた。名前は「都市伝説を考える会」。聞いただけで胡散臭いだろう?薄暗い喫茶店の二階に十人ほど集まっていて、皆が輪になって話していた。年齢も職業もバラバラ。スーツ姿の中年、フリーター風の若者、妙に落ち着い... 2025.08.28 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #391 宝石の森 森の奥深く、人の足がほとんど入らぬ場所に、奇妙な噂がある。木々の葉も枝も幹も、すべてが宝石でできた森があるというのだ。宝石の森――そう呼ばれていた。 それは、かつて旅の商人から聞いた話だった。最初は笑い飛ばした。宝石の森などあるものかと。だ... 2025.08.28 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #390 ソロキャンプの怪 動画配信者のKは、最近急激に人気を伸ばしていた。彼のスタイルはソロキャンプの生配信。焚き火を起こし、料理を作り、視聴者のコメントに答えながら一日を過ごすというだけのシンプルなものだ。「はいどうも、今日は山奥の渓谷沿いでソロキャンでーす」カメ... 2025.08.27 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #389 親ガチャアプリ 「笑った。マジであるんだ、こういうの」僕はその夜、画面を見ながら思わず声を漏らした。スマホにインストールされたばかりのアプリ。その名も――〈親ガチャ〉。SNSで誰かが冗談半分に貼ったリンクを踏んだのが始まりだった。普通なら怪しい広告か詐欺サ... 2025.08.27 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #388 最後の盆踊りの夜に これから話すのは、ほんの少し昔、僕が小学五年生だった夏休みの最後の夜の出来事なんだ。田舎の小さな村だから、毎年盆踊り大会が開かれるんだけど、今年もその日がやってきた。夏休みの終わりに合わせて行われるから、僕ら子供にとっては夏のフィナーレだ。... 2025.08.26 ちいさな物語不思議な話
SF #387 二つ目の地球 コールドスリープ――それを聞いたとき、僕は未来の神話みたいに思った。数百年に及ぶ宇宙航行の間、冬眠のように眠り、目的地に着いたら目覚める。そんな技術がなければ、人類は太陽系の外に出ることなど不可能だった。そして今、僕はその実験航行のクルーの... 2025.08.26 ちいさな物語SF
ちいさな物語 #386 変な新聞記事 何年か前のことだが、地方紙に載った小さな記事が、妙に記憶に残っているんだ。――以下、記事のスクラップブックから抜粋する。近隣住民同士の口論、原因は「プリン」をめぐる主張の相違八月十八日午前八時ごろ、市内在住のパート従業員Aさん(42)とパー... 2025.08.25 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #385 日記に書いた昨日 なんでこんな状態になっているかって? とりあえず話を聞いてよ。俺さ、昔から日記をつける習慣があったんだよ。――といっても、几帳面な性格とかそういうんじゃなくて、単純に数年後とかに見たらおもしろいし、備忘録になるかな、くらいの感覚なんだ。夜寝... 2025.08.25 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #384 しおちゃんと僕 しおちゃんこと、間宮栞のことを説明するのは、本当に難しい。小さい頃から一緒で、僕にとっては当たり前の存在だった。けれど、他人から見たら、彼女は「びっくりするほど綺麗で、びっくりするほど性格が悪い女の子」だ。あれほど両極端な人間は、たぶんそう... 2025.08.23 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #383 画鋲の町 僕の机の引き出しには、小さな箱に入った銀色の画鋲がある。文房具屋で買ったときは50個入りで、使い切ることなんて一生ないと思っていた。何しろ壁に画鋲でとめるものなんてそんなにない。お母さんからは壁に穴だらけになっちゃうからあまりたくさんは使わ... 2025.08.22 ちいさな物語不思議な話