イヤな話 #196 理想の職場 「ここが、『理想の職場』だよ」そう言われてドアを開けた瞬間、僕は思った。……臭う。いや、においではない、雰囲気が臭う。なんだこれは。「ようこそ新入り!」金髪リーゼントでガムをクチャクチャしながら近寄ってきたのは、田中課長だ。初対面で肩パンさ... 2025.04.24 ちいさな物語イヤな話
ちいさな物語 #195 アメリカンドッグの謎 図書館の返却棚に並べられていた古い推理小説。なんとなく手に取ったその本のページをめくった瞬間、何かの紙片が落ちた。拾ってみると、文字が薄くなったレシートだ。日付は1年前。近所のコンビニの名前と、以下の品名が印字されていた。・紙コップ・乾電池... 2025.04.23 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #194 片付かない部屋 「本当に、ごめんね。たぶん、ひとりじゃ無理だと思って」そう言って僕を呼んだのは、中学時代からの同級生・美沙だった。学生時代から散らかし魔だった彼女の部屋が、どうしようもなく荒れてきたという。興味本位で訪ねたワンルームは、予想以上の惨状だった... 2025.04.23 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #193 散歩の達人 僕の夢はシンプルだった。何か一つの道を極めること。今、目指しているのは散歩の達人。人間の散歩、犬の散歩、どんな散歩でも完璧にこなしたかった。ある日、究極の散歩道があると噂される森を訪れた。入り口には『あらゆる散歩者を歓迎する』という心躍る看... 2025.04.22 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #192 手袋、怒りの暴走 冬の公園のベンチに、ぽつんと落ちていた赤い手袋。それは右手だけのさみしい存在だった。「ご主人はきっとすぐに戻ってくる!」片手袋は前向きだった。だが、一日経ち、二日経ち、ついには一週間経っても、彼女の持ち主は姿を見せなかった。通りかかった老婦... 2025.04.22 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #191 呪いのラリー 最近、どうも体調が悪い。夜眠れず、食欲もない。朝起きると必ず部屋に長い髪の毛が散らばっている。自分の髪ではない。職場でそのことを話すと、後輩が冗談交じりの口調で「それ、呪われてるじゃないですか?」と言いだした。そんな非現実的なことは信じてい... 2025.04.21 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #190 掛け軸の中から 祖父が亡くなり、古い家を整理していると一幅の掛け軸が出てきた。 墨で描かれた山水画。穏やかな山々と静かな川の流れが広がり、遠くには霞がかかっている。なかなか見事で美しい軸だった。しかし、その掛け軸を掛けて以来、夜になるとどこからか水の音が聞... 2025.04.21 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #189 コンビニ弁当マニアの俺がつぶやいていくぜ? ちょっと語らせてくれ。俺、コンビニ弁当が人生の全てみたいなコンビニマニアなわけよ? 今日は特に俺の推し『ハピマ』『デイフレッシュ』『サンマート』の弁当の魅力を爆速で語ってくぞ。まず『ハピマ』な。ここはもう完全に弁当界のAppleよ。革新性が... 2025.04.20 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #188 呪われた黄金都市 父親も母親も仕事で忙しく、さみしさにかられた少年はふと呟いた。「ねえ、神様、空からお金が降ってくれば、僕はお父さんとお母さんと、毎日一緒にいられるのに」翌朝、本当にそれが現実となった。はじめは誰もが夢だと思った。だが窓を開けると黄金の硬貨が... 2025.04.20 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #187 自分がドラゴンだと言い張る猫 うちの猫、タマが突然言葉を話し始めた。猫あるあるなんだけど、タマがじぃっと俺を見ている。こういうときは何か要求があるときだ。「タマちゃ〜ん、どうちたの? ちゅ〜る欲しいの?」猫バカな俺はタマの頭をなでながら、抱きあげた。健康のためにおやつの... 2025.04.19 ちいさな物語異世界の話