ちいさな物語 #270 イグアナ通学路 朝、目を覚ましてカーテンを開けると、いつものように巨大なイグアナが庭にいた。俺は制服に着替え、トーストをくわえながら外へ出る。イグアナはすでに俺を待っていた。「おはよう、グスタボ」そう、俺はこいつをグスタボと呼んでいる。名前の由来はよく覚え... 2025.06.04 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #269 仮病師の奥義 「仮病は、他人に知られないことが最低限のマナーである」そう語るのは、倉持朔太郎くらもちさくたろう、三十七歳。自称・仮病師。正式な職業ではない。しかし、彼の中では仮病とは一種の“礼儀作法”として確立されていた。ズル休み――その言葉には嘘と怠慢... 2025.06.04 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #268 バカ発見装置 「あなたは、バカです」街中に置かれた奇妙な機械が、無情な声でそう告げた。それはある日突然、世界各地に現れた『バカ発見装置』だった。使い方は単純だ。装置に手をかざすだけで、その人が『バカ』か『無知』か判定される。最初は誰もが冗談半分だった。人... 2025.06.03 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #267 パンツ大戦争、午前二時 深夜二時、町は眠っている。だが、眠っていない場所もある。たとえば、駅前のコンビニ。自動ドアが、ピローンと音を立てて開いた。「いらっしゃいませー」とレジの夜勤バイトの福与ふくよは、半分寝ているような声であくびをかみ殺した。店内は誰もいない。B... 2025.06.03 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #266 虹を捨てる場所 「虹ってさ、古くなったらどうなるんだろう?」ある雨上がりの午後、学校の帰り道で、リナがふと呟いた。隣を歩いていたカナは怪訝な顔をして首を傾げる。「虹が古くなるって、どういう意味?」リナは空を見上げながら答えた。「だってさ、虹が消えたあと、そ... 2025.06.02 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #265 呪殺、ついに違法化へ 長らく『呪殺』は違法ではなかった。それは単に『科学的に証明できない』という理由で、罪に問えないままだったからだ。それをいいことに呪術師たちは呪術を使っての暗殺や、痴話喧嘩レベルの簡単な報復を高額で請け負い、荒稼ぎをしていた。呪術師たちは表向... 2025.06.02 ちいさな物語変な話