ちいさな物語 #401 秘密戦隊父と母 押入れの掃除なんて、正直気が進まなかった。古い布団やら黄ばんだ雑誌やら、どうせガラクタばかりで大変なのは目に見えていた。ただ、捨てられない大量のマンガ本をしまう場所がほしいと言ったら、押入れを片付けたら、空いたスペースを使っていいと言われた... 2025.09.03 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #400 罰ゲームで魔法少女になるオッサン 商店街の組合の飲み会で軽率なことを言ったのが、そもそもの間違いだった。「おしっ、負けたやつ、コスプレして販促な!」「いいですねっ! 商店街の売上もアップするかもです!」冗談で言ったはずのその言葉に若手連中もノリノリだ。そして始まる謎の賭け麻... 2025.09.03 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #399 安定の三角形 恋の三角関係。誰もが一度は耳にする、恋愛の泥沼ワード。でも俺が体験したのは、複雑すぎてドラマにも漫画にもできない代物だった。まず登場人物を整理しよう。俺、タカシ、幼馴染のユウジ、そして転校生のミカ。この三人で三角関係――まあ普通に聞けば「青... 2025.09.02 ちいさな物語恋愛
ちいさな物語 #398 光の怪談 普通、怪談といえば暗い夜道とか、薄暗い廃墟とかを想像するだろ?でもな、俺が体験したのは逆だったんだ。「明るすぎる場所」ってのが、いちばん怖かったんだよ。あれは学生のころ。友人たちと夜の街をふらついていて、ひとりで帰ることになった。夜十時を過... 2025.09.02 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #397 観覧車と物語 あれは夏の終わりだったな。辺鄙なところに小さな遊園地を見つけたんだ。こんなところに遊園地があるなんて知らなかった。しかも夜まで営業しているなんて変わっている。その遊園地に入ってしまったのは偶然で、導かれるように閉園間際の観覧車に乗ったんだ。... 2025.09.01 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #396 あのとき出会った子供 あれはもう何年も前の話になるな。俺がまだ駆け出しの冒険者だった頃、仲間と共に異世界の荒野を旅していたときのことだ。ある街道沿いの村に立ち寄ったとき、ひょっこり顔を出した子供がいた。 年の頃は十歳くらいだろうか。痩せぎすで、けれど目が妙に澄ん... 2025.09.01 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #395 とある記者の取材記録 俺は記者だ。剣士でも魔術師でもなく、ただペンを取り文章を書くことを生業にしている。要するに「事実を取材し、人々に伝える」のが仕事だ。勇者のように剣を振るう気もなければ、王に仕える気もない。俺が欲しいのは、ただ「よい記事のネタ」だけだ。今回の... 2025.08.30 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #394 月影の庵 山には不思議な話がつきものでございます。中でも「月影の庵」の噂は、古くから村人たちの口の端に上り、子や孫へと語り継がれてまいりました。ある夜のこと。若い猟師の庄五郎が山で道に迷ったそうです。谷を越え、崖をよじ登るうちに日はすっかり落ち、辺り... 2025.08.29 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #393 ストリート茶会! 粋がいきすぎる壮絶バトル その夜、路地裏に円陣ができた。ラップバトルのサイファーよろしく、だがそこに並ぶのはマイクでもターンテーブルでもない。ゴザ、水指、そして風炉――茶道で夏に使われる炉である。ストリート茶会は唐突に始まる。掛け声ひとつなく、最初に一歩踏み出したの... 2025.08.29 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #392 都市伝説を考える会 先週の金曜、友人に妙な会合に連れて行かれた。名前は「都市伝説を考える会」。聞いただけで胡散臭いだろう?薄暗い喫茶店の二階に十人ほど集まっていて、皆が輪になって話していた。年齢も職業もバラバラ。スーツ姿の中年、フリーター風の若者、妙に落ち着い... 2025.08.28 ちいさな物語変な話