ちいさな物語 #055 インフルエンサー・こた🐶 朝起きてスマホを開いた僕は、思わず叫んだ。「えっ……何これ!?」SNSのタイムラインに僕の超絶恥ずかしい写真が投稿されていた。ボサボサ頭でヨダレを垂らして寝ている姿、パンツ一丁で冷蔵庫を漁る姿、変なポーズで踊っている動画まで——。しかも投稿... 2025.02.12 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #054 隣の墓 祖母の墓参りに行くたび、気になることがあった。隣の墓が、いつも荒れている。雑草が生い茂り、墓石には鳥の糞がこびりついていた。供え物もなく、線香の燃えた跡すらない。「誰もお墓参りに来ないのかな……」私は何とはなしに、その墓の前にしゃがんだ。墓... 2025.02.12 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #053 ご機嫌メーター 「今日の機嫌、72点」 朝、目覚めてすぐに手首に巻いたデバイスで測る。その数値はアプリに自動で登録され公開される。それが今の社会の常識だった。 「お、今日は悪くないな」 数年前に開発された「ご機嫌メーター」。血圧計のように簡単にその日の機嫌... 2025.02.11 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #052 トイレットペーパーの妖精 深夜、ふと目が覚めた。喉が渇いたわけでもない。トイレに行きたいわけでもない。でも、何かの気配がする。布団からそっと抜け出し、廊下に出る。暗闇の中、トイレの扉の隙間から、ぼんやりとした光が漏れていた。誰かいる……?恐る恐るドアを開けた。そこに... 2025.02.11 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #051 クイズ番組の向こう側 夕飯を食べ終え、ソファに寝転がりながら何となくテレビをつけた。画面には派手なネクタイの司会者と、三人の解答者たち。お決まりのクイズ番組だ。とりあえず人の声がしていた方が落ち着くのでテレビをつけたままにしてスマホをいじる。「第1問! 日本の首... 2025.02.10 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #050 時の王と旅人 「旅人よ、ようこそ。我は時の王——すべての時を統べる者だ」男は堂々とした立ち姿で、まるで時間そのもののようだった。彼の背後には、異なる時代の景色が幾重にも折り重なっていた。砂漠の遺跡、未来都市、戦国時代の城下町——それらがまるで波のように揺... 2025.02.10 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #049 深夜2時の怪奇配信 俺の名前は佐々木翔。登録者12人の弱小YouTuberだ。しかも、その12人のうち半分はリアルな知り合い。お付き合いとして登録してくれたものの、見てないのは分かっている。でも俺は、毎晩ひっそりと配信を続けていた。俺のチャンネル名は「翔のミッ... 2025.02.09 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #048 パン窯の神様 あ、ちょっと不思議な話があるから聞いてくれよ。家業のパン屋を継いで5年になるけど、あの日ほど気味の悪い思いをしたことはない。毎朝、夜明け前に仕込みを始めて、窯の火を起こすのが日課だ。うちの自慢はこの窯でじっくりと焼きあげたふっかふかの食パン... 2025.02.09 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #047 魔法使いの処世術 魔法使いとして生計を立てるには、何より堅実であることが重要だ。無駄な戦いはしない。必要以上に目立たない。ギルドの依頼も、地味なものを選ぶのが一番いい。だから、私は基本的にモンスター退治の依頼は避けている。あれは脳筋戦士や派手好きな魔導士に任... 2025.02.08 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #046 チャラ男ホストの人気の秘密 「いらっしゃいませ~♡ 今夜は姫のために俺を捧げちゃうよん♪」 銀座の高級ホストクラブ。テーブルに座るのは、やや疲れた様子の女性客。彼女の向かいで軽快にシャンパンを開けたのは、No.1ホスト・レイ。 「レイくん、相変わらずチャラいねぇ」 「... 2025.02.08 ちいさな物語不思議な話