SF

#458 UFOを呼べ!

あのときの宿題は、今でも忘れられない。中学二年の夏休み明け、理科担当の変人教師、藤巻先生が言ったんだ。「次回の宿題は――UFOを呼んでくること!」クラス中が爆笑したよ。「先生またふざけてる!」って。だけど、先生は本気の顔をしていた。「宇宙は...
ちいさな物語

#457 傘に落ちるもの

あれは二年前の秋頃だったと思う。夜勤明けで疲れていた俺は、しとしとと降る雨の中を、傘を差して歩いて帰っていたんだ。最初は、雨音に紛れて気のせいだと思っていたが、上から「ボタッ」という重たい音がした気がした。雨の粒が落ちる音とは違う。柔らかく...
ちいさな物語

#456 変わらぬ先生

うちの担任のことを話そうか。ぱっと見は二十代後半、生徒にも人気の若い先生だ。笑顔も明るく、授業もわかりやすい。女子は「イケメン」って騒ぎ、男子も気さくに話せる。まあ、完璧すぎるくらいの先生なんだよ。だけどある日、高齢の先生にぽろっと言われた...
ちいさな物語

#455 コスプレ異世界転生記

いや、聞いてくれよ。俺さ、まさか本当に異世界転生するとは思ってなかったんだ。トラックに轢かれて気づいたら光に包まれて、あのベタな展開だ。「次に目を覚ましたら魔法と剣の世界で無双するんだろうな」って、頭の片隅で期待してたよ。――で、目を開けた...
ちいさな物語

#454 超能力探偵の秘密

僕は名探偵の助手をしている。名前は伏せるけど、うちの探偵は業界でもそこそこ名が知られていて、依頼が絶えない。新聞やテレビにも取り上げられるくらいだから、まあ世間的には「名探偵様」ってことになってる。確かに頭はいい。知識量も豊富だし、観察眼も...
ちいさな物語

#453 名もなき戦国武将、JKに憑く

あれは二年生の修学旅行で京都に行ったときのことなんだ。普通なら清水寺とか金閣寺とか、有名どころに行くはずでしょ? でもうちの学校はちょっと変わってて、先生が歴史マニアだったのね。だから旅程の中に「古戦場めぐり」なんていう地味ぃ〜なイベントが...
ちいさな物語

#452 コンビニ三途の川支店

その日、俺は田舎の山道を歩いていた。旅行中にバスを乗り間違え、最寄りの駅まで歩く羽目になったのだ。辺りは薄暗くなり、人気はまるでない。「やばいな、スマホの電池も切れそうだし……」その時、不意に明かりが見えた。「コンビニ?」こんな山奥に? だ...
ちいさな物語

#451 食玩コレクションの部屋

最初にその食玩を手に取ったのは、コンビニのレジ横でした。小さな箱にカラフルなキャラクター。子ども向けの菓子かと思ったんですが、なぜか大人の僕まで惹きつけられたんです。「全12種類+シークレット1種」おまけのフィギュアは、古風な人形や見知らぬ...
ちいさな物語

#450 幻の灯火亭

冒険者ギルドの中では有名な噂があるんだ。「幻の料理屋」ってやつさ。たどり着ける人間だけが味わえる、特別な料理を出す店。信じるやつはほとんどいない。けど、一部の古参冒険者や腕利きの連中が「一度だけ行ったことがある」なんて真顔で語るもんだから、...
ちいさな物語

#449 
懐かしい町

「懐かしい町」の話を聞いたことがあるか?地図にもSNSで検索しても出てこない。それなのに口伝で噂は広がっていて、誰かが必ず「ああ、聞いたことある」と頷く。けれど不思議なことに、詳しい情報は誰も語らないんだ。実は俺も、あの町に迷い込んだひとり...