ちいさな物語 #051 クイズ番組の向こう側 夕飯を食べ終え、ソファに寝転がりながら何となくテレビをつけた。画面には派手なネクタイの司会者と、三人の解答者たち。お決まりのクイズ番組だ。とりあえず人の声がしていた方が落ち着くのでテレビをつけたままにしてスマホをいじる。「第1問! 日本の首... 2025.02.10 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #050 時の王と旅人 「旅人よ、ようこそ。我は時の王——すべての時を統べる者だ」男は堂々とした立ち姿で、まるで時間そのもののようだった。彼の背後には、異なる時代の景色が幾重にも折り重なっていた。砂漠の遺跡、未来都市、戦国時代の城下町——それらがまるで波のように揺... 2025.02.10 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #049 深夜2時の怪奇配信 俺の名前は佐々木翔。登録者12人の弱小YouTuberだ。しかも、その12人のうち半分はリアルな知り合い。お付き合いとして登録してくれたものの、見てないのは分かっている。でも俺は、毎晩ひっそりと配信を続けていた。俺のチャンネル名は「翔のミッ... 2025.02.09 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #048 パン窯の神様 あ、ちょっと不思議な話があるから聞いてくれよ。家業のパン屋を継いで5年になるけど、あの日ほど気味の悪い思いをしたことはない。毎朝、夜明け前に仕込みを始めて、窯の火を起こすのが日課だ。うちの自慢はこの窯でじっくりと焼きあげたふっかふかの食パン... 2025.02.09 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #047 魔法使いの処世術 魔法使いとして生計を立てるには、何より堅実であることが重要だ。無駄な戦いはしない。必要以上に目立たない。ギルドの依頼も、地味なものを選ぶのが一番いい。だから、私は基本的にモンスター退治の依頼は避けている。あれは脳筋戦士や派手好きな魔導士に任... 2025.02.08 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #046 チャラ男ホストの人気の秘密 「いらっしゃいませ~♡ 今夜は姫のために俺を捧げちゃうよん♪」 銀座の高級ホストクラブ。テーブルに座るのは、やや疲れた様子の女性客。彼女の向かいで軽快にシャンパンを開けたのは、No.1ホスト・レイ。 「レイくん、相変わらずチャラいねぇ」 「... 2025.02.08 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #045 口の悪い鏡 あれは引っ越して間もない頃でした。新居の洗面所についていた古びた鏡が妙に気になっていて。縁に細かい傷や汚れがあったけれど、それも味があると思ってそのまま使うことにしていたんです。でもある朝、顔を洗おうと鏡に向かうと、低い声が聞こえたんです。... 2025.02.07 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #044 親友の秘密 最近、あるチャットアプリにハマっている。そこでは匿名で世界中の誰とでも話せるのだ。ある日、僕は「カエサル」というハンドルネームのユーザーと知り合った。最初は他愛ない雑談だったが、彼の話はちょっとないくらいに知的だった。カエサル: 「今日のニ... 2025.02.07 ちいさな物語不思議な話
ちいさな物語 #043 午前二時のケーキ屋 「いらっしゃいませ」 カラン、と控えめなベルの音とともに、店の奥から店員が現れる。 白いエプロンをつけた女性は、穏やかに微笑んでいた。年齢不詳だがきれいな女性だ。目元には優しさがにじみ、どこか懐かしい雰囲気を醸し出している。 「お好きな席へ... 2025.02.06 ちいさな物語不思議な話
イヤな話 #042 派遣会社からのご案内 1日目今日から研修が始まった。通知が来たのは一週間前、差出人は登録した派遣会社からだった。無職の俺は断る勇気もなく、指定されたバスに乗り込む。到着したのは山奥の施設。簡素な建物と、ひんやりとした空気が迎えてくれた。初日の課題は「水をバケツで... 2025.02.06 ちいさな物語イヤな話