SF #067 シカですか? 「では、これが未来の移動手段となる『シカライド』です!」壇上で発表されたのは、最新型の電気自動車……ではなく、一頭の立派な鹿だった。静まり返る会場。聴衆は何かの冗談かと思い、ざわつき始める。しかしプレゼンターの科学者は至って真剣な表情だ。「... 2025.02.18 ちいさな物語SF
ちいさな物語 #066 肉の正体 「この肉……どこ産なんだ?」ステーキナイフを持ちながら、俺はシェフに尋ねた。「珍しいですよ」シェフはにやりと笑う。「地球では、なかなか食べられませんから」地球?噛み締めた瞬間、ジューシーな肉汁が口の中に広がる。豊潤な香り、深みのある味わい。... 2025.02.18 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #065 ワカメカタストロフ ワカメって、こんなに増えるものだったか?俺は台所のシンクを見下ろし、唖然としていた。スーパーで買った乾燥ワカメをちょっと戻すつもりだったのに、気づけばシンクが緑の海になっている。水を吸ったワカメが、どんどん膨らみ、シンクからあふれ出し、床に... 2025.02.17 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #064 転生! 異世界ブラック企業 目を覚ますといつもとは違うという感覚があった。「やった……ついに俺も異世界転生か!」佐藤隆司(35歳・社畜)は歓喜した。深夜残業の連続で倒れた記憶がある。ということは、とうとう神様が俺を異世界へ送ってくれたに違いない。なぜそう思うかというと... 2025.02.17 ちいさな物語異世界の話
SF #063 ゼロの先に なあ、お前も見ただろ? ほら、あのカウントダウンのことだよ。最初はハッカーによる悪質なイタズラだと思ったんだ。電光掲示板、スマホの画面、時計のディスプレイ、駅の案内板……ありとあらゆる場所に、突如として数字が現れた。しかも、その数字が世界中... 2025.02.16 ちいさな物語SF
ちいさな物語 #062 回覧板の掟 「回覧板が来たら、すぐに回してくださいね」このマンションに引っ越してきたばかりの俺に、管理人は念を押すように言った。何度も、何度も。まるで、それが最も重要なルールであるかのように。よっぽどマナーのない人がいるんだろうかと少し不安になる。しか... 2025.02.16 ちいさな物語怖い話
ちいさな物語 #061 異界の晩餐 気がついたら、俺は見知らぬ城の入口に立っていた。城の入口なんて行ったことはないけど、アニメやゲームなんかで見たのに似てる。見上げんばかりの扉に圧倒された。歩き出すと進むべき廊下の灯りが順番にともって導いてくれる。なんかこれ、ゲームみたいでか... 2025.02.15 ちいさな物語異世界の話
ちいさな物語 #060 無職! 桃太郎、行きます!! 「桃太郎になってくれませんか?」知らない男に、いきなりそう頼まれたのは、俺が会社をクビになり、ヤケ酒をあおっていた夜のことだった。「は?」「いや、だから。鬼を退治してほしいんです。報酬は……1000万円でどうでしょう」1000万か……。悪く... 2025.02.15 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #059 チョコと手錠 いや、あのね、聞いてほしいんだけど——こんなの、普通ないでしょ!?バレンタインだったのよ。女子としては一世一代の大勝負の日なわけ。――で、その前に私、人生で初めて一目惚れしたの。駅でさ、偶然見かけたイケメン。長身で、黒髪がさらっとしてて、ス... 2025.02.14 ちいさな物語変な話
ちいさな物語 #058 同じ場所で 2月8日駅近くの細い路地を歩いていたら、急に飛び出してきた人とぶつかってしまった。思わず「わぁ!」と叫んでしまい、相手も驚いた顔をしていた。見れば、同年代くらいの女性で、何かを探しているようだった。「すみません!」と謝られて、俺も「こちらこ... 2025.02.14 ちいさな物語恋愛