変な話

ちいさな物語

#453 名もなき戦国武将、JKに憑く

あれは二年生の修学旅行で京都に行ったときのことなんだ。普通なら清水寺とか金閣寺とか、有名どころに行くはずでしょ? でもうちの学校はちょっと変わってて、先生が歴史マニアだったのね。だから旅程の中に「古戦場めぐり」なんていう地味ぃ〜なイベントが...
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#451 食玩コレクションの部屋

最初にその食玩を手に取ったのは、コンビニのレジ横でした。小さな箱にカラフルなキャラクター。子ども向けの菓子かと思ったんですが、なぜか大人の僕まで惹きつけられたんです。「全12種類+シークレット1種」おまけのフィギュアは、古風な人形や見知らぬ...
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#448 刺身の旅

あれは、忘れもしない晩酌の夜のことだ。スーパーで買ったパックの刺身を皿に並べて、醤油を用意し、さあ一口……と箸を伸ばした瞬間、声がした。「まだだ。まだ食うな」僕は手を止めた。部屋には僕ひとり。だが声は確かに聞こえた。「ここだ、ここだよ。お前...
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#446 セルフ化社会

あんたは最近「セルフ〇〇」ってやつをよく聞くと思わないか?セルフレジ、セルフ脱毛、QRコードでセルフ注文するカフェ……最初はその程度だった。人件費削減だの効率化だの言われて、「自分でやる方が早い」って便利がられていた。でもな、気がついたら街...
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#440 隕石パニック24時

「緊急ニュースです。大きな隕石が地球に衝突します」その一言で世界はひっくり返った。いや、ひっくり返るどころか、激しく転がり始めた。残り時間は24時間。こんなことある? こういうのはもっと前にわかるもんじゃないの?人類最後の一日は、完全にカオ...
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#435 おじさんの中のおじさんたち

あれは本当に妙な夜だったんです。駅前のベンチに腰かけていると、不意に隣におじさんが座ったんですよ。よれよれのスーツ、手に持った紙袋からはパンの匂い。まあ普通のおじさんだと思いました。ところが次の瞬間、そのおじさんの胸元がパカッと開いて、中か...
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#433 唐突にレフェリー&実況

最初にその「連中」を見たのは、駅前のロータリーでした。タクシーの順番を巡って、酔っ払いの中年とサラリーマンが口論していた。どこにでもあるような揉め事です。どっちが先に並んでいたとか、嘘だとか。声を荒らげ、互いに指を突きつけていたその瞬間、聞...
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#431 未来を変えた枝豆

あの日、僕が居酒屋で枝豆をつまんでいただけで、あんなことになるとは思わなかったんです。昼間からビールの泡をすすりながらまったり。何気なく枝豆を押し出した瞬間、豆がつるりと飛び出したんですよ。それがぴゅんと隣の席へ飛んでいって、見知らぬサラリ...
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#429 後ろの行列

あれは、本当に妙な体験だったんですよ。会社帰りにいつもの道を歩いていたら、後ろから足音が聞こえたんです。最初は一人分の気配でした。まあ、夜道だし誰かが同じ方向に歩いているんだろうと気にしませんでした。でも、その足音がぴたりと僕の歩調に合って...
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#428 じぃこと俺の日常

いや聞いてくれ、本当におかしくなったんだと思うんだ。俺は昔からアニメ好きだったんだけど、ここ数年は擬人化作品ばかり追いかけてたんだ。戦艦や競走馬が美少女になったり、武器がイケメンになったり、地名がキャラになったりするだろ? そういうのを追い...