変な話

ちいさな物語

#384 しおちゃんと僕

しおちゃんこと、間宮栞のことを説明するのは、本当に難しい。小さい頃から一緒で、僕にとっては当たり前の存在だった。けれど、他人から見たら、彼女は「びっくりするほど綺麗で、びっくりするほど性格が悪い女の子」だ。あれほど両極端な人間は、たぶんそう...
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#379 虚無ガチ勢の夏

「ガチ勢」って言葉、最近よく聞くだろう?どんな趣味でも、必ずガチな人がいる。釣りガチ勢、アイドル追っかけガチ勢、猫吸いガチ勢、断捨離ガチ勢。だが、僕の隣に住んでいたあの人は一味違った。「俺は虚無ガチ勢だ」と堂々と名乗るその男、村瀬さん。最初...
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#378 走馬灯の編集はじめました

正直に言うと、自分が死ぬのがあんなにあっけないとは思わなかった。朝、餅を食べながらスマホで面白動画を見ていて、思いっきり笑った瞬間、餅が喉に詰まってそのまま──という間抜けな最期だった。さすが日本で最も人を殺している食べ物だ。まだそこそこ若...
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#363 朝活のテーマ

朝5時、都内のとあるカフェ――。夜明け前の静寂を破るべく、今日も「意識高すぎるサラリーマン」たちがぞろぞろとやって来る。スーツ、MacBook、論文プリント、手描き図解、タブレット端末、プロテインのボトル。「おはようございます、今日も『朝』...
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#358 コンビニ夜勤は満員御礼

「夜勤って静かで楽だよ」バイト初日にそう言い切った先輩の顔を思い出しながら、タケダはため息をついた。現在、午前0時3分。商店街の端っこにある我らがコンビニ「まるまるマート」。世の中のほとんどが寝静まるこの時間、なぜかこの店だけは常連たちのア...
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#347 人類みんな変人化計画

ある朝、世界中のAIが突然嘘をつき始めた。スマホのアシスタントAI、ナビゲーションシステム、チャットボット……。ありとあらゆる人工知能が、口をそろえて奇妙でシュールな嘘を人々に吹き込み始めたのだ。「本日、地球は楕円形になりました。バランスを...
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#343 独裁トースト

共和国の独裁者デメトリオス三世は、ある朝突然叫んだ。「トーストが国家転覆を狙っている!」誰もが耳を疑ったが、独裁者の命令は絶対である。即座に全国民にトースト禁止令が布告され、各家庭に配布されたパンの焼き加減確認官たちが、毎朝抜き打ちで各家庭...
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#339 真夏の犬はスイカを転がす

うだるような真夏の午後、庭で扇風機の風を浴びながらうたた寝をしていたら、飼い犬のチャッピーが唐突に言った。「なあ、夏といえばスイカだろ?」僕は目を開けるのも億劫だったので、そのまま曖昧に頷いた。するとチャッピーはさらに言葉を続ける。「じゃあ...
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#336 しゃべるネクタイ

「んんー、朝はやっぱりネクタイ締めるの、窮屈だな」出勤準備でまだぼんやりしている僕が、いつも通りネクタイを締めた瞬間だった。「ちょっと! もっと優しく締めろってば!」「ん?」幻聴かな? 疲れすぎだな、と思っていると、またもや首元からはっきり...
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#333 不条理百貨店へようこそ

いつの間にか、その百貨店に足を踏み入れていた。目の前には巨大な吹き抜けが広がり、華やかな照明と軽やかな音楽が流れている。しかし、不思議なことに、入り口を通った記憶がまったくなかった。もしかしてこれは夢か?受付に立っていた店員に、ここがどんな...