変な話

ちいさな物語

#111 致命的なタイプミス

「このキーボードは、打った言葉を現実にする」店主にそう言われて、俺は半信半疑でその黒いキーボードをながめる。古道具屋にキーボードというのがめずらしくて、俺はそれを手に取っていた。どこにでもある普通のキーボードと変わらない。ただ、モニターにつ...
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#110 回る歯車

俺の仕事は単純だった。作業場に入る。機械の前に立つ。決められたタイミングでレバーを引く。それだけだ。俺が引くレバーに連動して、巨大な歯車がゆっくりと回り始める。最初は重たそうに軋むが、やがて安定し、規則正しいリズムを刻む。そして俺は決められ...
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#101 チャラ神様のご加護

深夜、人気のない神社の境内。今年こそ、彼女ができますように。鳥居をくぐると、目の前にキラッキラのスーツを着た男がいた。「やっほ~☆ 君、悩みとかあんの?」「……は?」金髪オールバックにサングラス。胸元をはだけさせ、金のネックレスがジャラジャ...
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#097 ポイント人生

目が覚めた瞬間、頭の中に奇妙な声が響いた。──「おめでとうございます。あなたは人生三周目に突入しました」何だ? 俺は、今、生まれたばかりなのか? 意識だけがはっきりしているが、身体は動かない。赤ん坊だからか? いや、違う。手を見れば、しっか...
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#092 言い訳の数

「被告人、あなたは万引きの罪で起訴されていますね?」裁判官の問いに、被告の男は堂々と答えた。「いえ、あれは不可抗力でした。」「不可抗力?」「そうです。ちょうどその日、私のズボンのゴムが緩んでましてね。歩いていたらスルスルっと下がってきたんで...
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#089 あさりの味

大好きだったあさりの味噌汁。なのに、もう、あの味がわからない。失われていくのは、味か、それとも——。
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#084 生活実態調査の実態

届いたアンケート結果はデタラメだらけ。なのに、おかしいのは自分だけらしい。ずれているのは、世界か、俺か。
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#082 究極のピザ

「いや、だからパイナップルはピザに合わないんだって!」「お前の方こそ、アンチョビの塩辛さを理解してない!」僕とルームメイトのケンは、ピザのトッピングについて激しく口論していた。もともとは仲のいい大学の同級生だったのに、この問題に関してだけは...
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#079 乙女ゲーム化した高校生活にモブの俺がツッコミ入れていきますね

「いやいや、ありえないだろ」俺は隣の席で繰り広げられる光景に、思わずツッコミを入れた。ここはごく普通の高校。そしてこの物語のヒロイン——橘ひまりは、決して”かわいい”タイプではない。見た目は普通、性格はどちらかというと生意気。気分屋の猫みた...
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#078 行列の先にあるもの

その日、俺は仕事帰りに駅前の広場を通った。いつもなら通り過ぎるだけの場所なのに、今日は何かがおかしかった。――行列だ。ものすごく長い行列ができている。最初は人気のスイーツでも売っているのかと思った。でも、列に並んでいる人たちはみんなスマホを...