昔話・寓話

ちいさな物語

#607 幼馴染が俺を好きらしいがそんなわけがない

「好き」高校二年の秋。放課後の教室で、幼馴染の七瀬が突然そう言った。反射的に後ろを見た。誰もいない。いや待て。こういう時って大抵、どこかに友だちが隠れているんだよ。スマホで撮影していて、俺が調子に乗った途端に「うぇーい!」って出てくるてはず...
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#600 桃色の花の国と戦神

昔々、あるところに、それはそれはうつくしい小さな国があったんだよ。その国は一年中、やさしい桃色の花が咲き乱れていてね、まるでおとぎ話のような場所だったんだ。人々はみな豊かで心やさしく、争いごとはほとんど起きなかった。その国は少年の姿をした「...
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#592 五人の僧侶

昔々、あるところに、ひとりの旅人がおったんじゃよ。その旅人はな、自分の蓄えさえ乏しいのに、困っている人を見ると放っておけない。それはそれは心のやさしい男だったんじゃ。ある時、男は険しい山道を越えて、遠くの町へと向かっておった。山の中は風が冷...
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#493 山の神の約束

この里には『白霧の峰』という山があってな、そこは神さまの棲む山ゆえ、決して鉄を持ち込んではならん、という掟があったんじゃ。けれどその年は雪が深うて、獲物もおらず、里の者は飢えておった。与作の妻は腹に子を宿しておったし、与作もとうとう我慢がな...
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#434 川の大橋ものがたり

むかしむかし、とある里に大きな川が流れておった。その川は流れも早く、雨が降ればすぐに氾濫して、里の人々はたびたび困らされていた。とりわけ川を渡るのが大変でな、舟を使えば流され、泳げば命を落とす。里と里とをつなぐ道はその川でぷつりと途切れてお...
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#309 鐘のない鐘楼

昔々、とある小さな村に、一つの大きな時計塔があった。村のどこからでも見えるその塔は、長い年月を刻み続け、村人たちの生活を支えていた。だが、この時計塔には奇妙な噂があった。「どれだけ階段を登っても、鐘楼にはたどり着けない」村人たちは子供の頃か...
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#302 龍の谷

昔々、とある山奥に小さな村がありました。その村の近くには深い谷があり、そこには龍が棲むと言われておりました。村人たちは昔から、その龍の怒りを鎮めるために若い娘を谷に捧げる風習がありました。「龍の怒りに触れてはならぬ」と、年寄りは口々に言い、...
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#291 小さな木こりと白い狼

むかしむかし、ある深い山奥の村に、力のない小さな木こりがおったんじゃ。名前を吾作というてな、村で一番ちっこい身体じゃったが、働き者で心根の優しい男じゃった。ある日、吾作が山で道に迷ってしまったんじゃ。日も暮れかけ、途方に暮れておったところ、...
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#267 パンツ大戦争、午前二時

深夜のコンビニに、パンツを巡る奇妙な戦士たちが集結。誰も望んでいない伝説のバトルが幕を開ける。
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#213 神さまの座布団

これはの、わしのばあちゃんが、そのまたばあちゃんから聞いたという話じゃ。昔々、山のふもとに「木長こなが村」っちゅう、小さな村があったんじゃ。田んぼと畑と、ちょっとした神さまがおるだけの、静かなところじゃった。この村ではな、毎年秋になると「神...