どんでん返し

ちいさな物語

#646 魔法のダイス

怪しげな骨董品が乱雑に並ぶ露店の奥で、そのダイスは静かに怪しい光を放っていた。透明な結晶の中に真鍮の緻密な装飾を封じ込めたそのダイスは、どこか神聖でありながら不気味な雰囲気を漂わせている。店主の老人は不敵な笑みを浮かべ、「これは望む運命を引...
ちいさな物語

#645 日記帳のつながり

その日記帳は、神保町の路地裏にある古書店で、投げ売りされていたワゴンの底に眠っていた。日記帳などが売られているものかと不思議に思われるかもしれないが、これが稀にあるのである。遺品整理などで大量の書籍をそのまま古書店に売ると、そういった物が混...
ちいさな物語

#640 ひまわり畑

真夏の刺すような日差しが照りつける7月の午後、僕は友人である健太、葵と3人で、郊外にある有名なひまわり園を訪れていた。広大な敷地には、大人の背丈をはるかに超える巨大なひまわりが咲き誇っていた。「すごいな、迷路みたいだ。写真撮ろうぜ」と健太が...
ちいさな物語

#637 復讐の夜明け

漆黒の夜の帳が静かに下りる刻、私はついに長年追い続けた復讐の標的が待つ場所へとたどり着いた。冷たい風が吹き抜ける荒涼とした古城の最上階、月明かりだけが照らす部屋で、その男は逃げる素振りすら見せず静かに待っていた。漆黒の重厚な外套を身に纏った...
SF

#636 宇宙が交差する洞窟

地質学者のハヤトは、特別な許可を得て、未踏の洞窟「グラヴィティ・コア」の内部調査を単独で行っていた。この洞窟は、内部の重力異常が報告されており、最新の観測機器でも奥の構造が捉えられない謎の場所だった。ハヤトがライトの光を頼りに進むと、壁面に...
ちいさな物語

#634 開かずの納戸

次は僕の番ですか。うーん、信じてもらえないかもしれないんですが、とりあえず話してみますね。大学生の夏休み、山奥にある母方の祖父母の家へ遊びに行ったときのことです。大学は楽しいんですが、ちょっと慌ただしすぎて――何もしない時間というか、何もし...
ちいさな物語

#632 命の恩人

山の夜は、すべてを飲み込むほどに深い黒一色だった。そんな中、私は完全に山の中で道を見失っていた。スマホの画面は暗いままで使い物にならない。懐中電灯の頼りない光だけが、霧の立ち込める不気味な木々を照らしていた。雨が激しさを増し、冷たい水滴が容...
ちいさな物語

#620 Bluetooth

あ、次は私の番ですね。霊感とかがないので幽霊の話とかじゃないんですが……私が数年前に体験した話をさせてください。当時、私は大学を卒業したばかりで、古いマンションで一人暮らしを始めたところでした。格安物件でしたが、初めての一人暮らしということ...
ちいさな物語

#619 水底からの声

有馬はここ数週間、毎晩のように同じ夢にうなされていた。あたりは深く冷たい霧に包まれており、まるで水の中にいるかのような息苦しさがある。その霧の向こうに、一人の若い男がいた。男は有馬の目を真っ直ぐに見つめ、顔を真っ赤にして何かを必死に叫んでい...
ちいさな物語

#611 パチンコ店の怪

今から十年ほど前の話だ。俺は郊外のパチンコ店でバイトをしていたんだ。あんた、知ってるかな。国道の脇の「ゴールデンラッキー」って店だ。まだあるかわからないけどな。当時はまだ現在とは違い、玉が筐体から外に出る仕様だった。だからパチンコ屋のバイト...