怖い話

ちいさな物語

#463 人気居酒屋の凋落

うちの居酒屋「いろは」は、三年前までは本当に人気店だった。駅前から少し離れた裏通りにある小さな店なのに、連日満席。店長の料理の腕が良いのはもちろん、どの客にもフレンドリーに話しかける人柄も評判だった。でも、なぜか客足が減っていった。常連客が...
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#457 傘に落ちるもの

あれは二年前の秋頃だったと思う。夜勤明けで疲れていた俺は、しとしとと降る雨の中を、傘を差して歩いて帰っていたんだ。最初は、雨音に紛れて気のせいだと思っていたが、上から「ボタッ」という重たい音がした気がした。雨の粒が落ちる音とは違う。柔らかく...
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#452 コンビニ三途の川支店

その日、俺は田舎の山道を歩いていた。旅行中にバスを乗り間違え、最寄りの駅まで歩く羽目になったのだ。辺りは薄暗くなり、人気はまるでない。「やばいな、スマホの電池も切れそうだし……」その時、不意に明かりが見えた。「コンビニ?」こんな山奥に? だ...
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#445 飢えの名前

あんたにも経験はあるんじゃないか?夜中にふと、ラーメンが食べたくて仕方なくなるとか、やけに甘いものを欲するとか。誰にでもあるんじゃないかと思う。これはただの気まぐれみたいなものだと思うだろう。でもな、俺の場合はちょっと違ったんだ。最初は小さ...
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#444 戻らない交渉人たち

あれは今でも夢に見る出来事です。ある日、街の雑居ビルで立て籠もり事件が起きました。銃を持った男が部屋に閉じこもり、人質を取っているという。僕は交渉人ではなく、ただの警察官でしたが、現場に動員されていました。最初に向かったのは、ベテランの交渉...
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#443 呪屋繁盛記

あんた、呪屋って知ってるかい?そう、最近はやたら耳にするだろ。アニメや漫画の影響で、若いやつらの間じゃちょっとしたブームになってんだ。実は俺、その呪屋をやってるんだよ。元々は細々とした商売でね、頼みに来るのは本当に切羽詰まった人間ばかりだっ...
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#441 隣人たち

不思議なことが起きたのは、僕がこのアパートに引っ越してきてからすぐのことでした。隣の部屋の住人が、毎日違う人になっているんです。初日は若いサラリーマン風の男でした。挨拶を交わしたときは感じのいい人で、「こちらこそよろしくお願いします」と笑っ...
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#439 不思議なカプセル

最初にそのガチャガチャを見つけたのは、廃れたショッピングモールの一角だった。他の店はとっくに閉まり、テナント募集の張り紙が並ぶ中、ぽつんと置かれた一台の機械。赤と青の色はすっかり褪せて、透明のケースも黄ばんでいた。暇つぶしに百円玉を入れてハ...
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#437 耳の奥の声

あれは数年前のことです。通勤途中、いつものように電車で音楽を聴こうとイヤホンを耳に差し込んだ瞬間、不思議な声がしたんです。「……聞こえるか?」僕は思わずイヤホンを外しました。周囲を見渡しても、誰も僕に話しかけていない。車内は新聞を読む人やス...
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#427 ぼくの遠足

【9月25日】今日は先生が遠足のことをはなしてくれた。来月のはじめに行くんだって。行き先はまだひみつだけど「ふつうの場所じゃないからお楽しみに」と言ってた。どんなところだろう。ワクワクして、友だちと帰り道にずっとその話をした。【9月27日】...