怖い話

ちいさな物語

#385 日記に書いた昨日

なんでこんな状態になっているかって? とりあえず話を聞いてよ。俺さ、昔から日記をつける習慣があったんだよ。――といっても、几帳面な性格とかそういうんじゃなくて、単純に数年後とかに見たらおもしろいし、備忘録になるかな、くらいの感覚なんだ。夜寝...
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#381 消えた友達の話

これから話すのは、俺が小学校5年生のときに体験した、ちょっと不思議で気味の悪い話だ。別に作り話なんかじゃなくて、本当にあったこと――なんだけど、信じてもらえないだろうな。まあ、とりあえず聞いてよ。その日は、クラスのみんなが楽しみにしていた遠...
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#375 四人目のわたし

夏休みの終わり、私たち小学生四人は、友達の家に集まってお泊まり会をしていた。部屋の床に敷かれたふかふかのクッション、コンビニで買ったお菓子、ポテトチップスの袋、ジュースのペットボトルが散らばる。夏休みだからこそ許される贅沢。いつもなら恋バナ...
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#371 親切の記憶

すべては仕事帰りの夜だった。今日は妙に体が重かった。コンビニでビールでも買って帰ろうか――そう考えながら、駅から家までの道を歩く。湿った夜風が頬にまとわりつき、足取りは自然と遅くなっていた。そのとき、通りの向こうで何かが動いた。薄暗い街灯の...
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#370 台所にいるもの

ちょっと……なんというか、地味な話なんだけど、それでもいいかな。あれは、去年の夏の終わりだったと思う。夜中に喉が渇いて、私は水を飲みに台所へ降りた。家の中は蒸し暑く、外の虫の声が障子越しに響いていた。台所の電気はつけなかった。月明かりが窓か...
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#365 バグに気づくな

大学を出て、久しぶりに地元に戻ったのは夏祭りが近い頃だった。懐かしい町並みに、見慣れないカフェだけがひときわ目立っていた。ふと立ち寄ったその店で、俺は信じられない光景を目にした。カウンターでアイスコーヒーを注文しているのは、高校時代に交通事...
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#361 お揃いですね

電車の中で、隣に座った女性が俺と同じスマホケースを使っていることに気づいた。(まあ、よくあるデザインだし、偶然か)そう思いながらスマホをいじっていると、その女性がチラリとこちらを見て微笑んだ。「お揃いですね」なんとなく気恥ずかしくなり、「そ...
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#357 ベルトコンベアーのむこう

カシャン、カシャン――鉄と油の匂いに満ちた空間で、単調な音が絶え間なく続いていた。僕の仕事は単純だ。ベルトコンベアーに乗って流れてくる部品に、指定された部品を取り付けるだけ。スパナを握り、ボルトを締め、電動ドライバーでネジを打つ。流れ作業。...
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#355 誰も知らない

「なあ、これ見てみろよ」俺たちはスマホの画面を順番に覗き込んだ。山奥のキャンプ場の写真。週末に集まれるメンバーで遊びに行った。社会人になっても続く数人のグループで、たまには自然に触れようと計画した、いつもの遊びの延長。それには確か五人で行っ...
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#344 赤いピンの目的地

大学生の翔太は、夜更かしをしながらネットを眺めていた。すると、スマホの通知が鳴り、マップアプリから「あなたにおすすめの場所」という通知が届いた。興味本位でアプリを開くと、見覚えのない山間部に赤いピンが立っている。翔太は地図を拡大したが、地名...