怖い話

ちいさな物語

#341 屋上の笑い声

あれは高校二年の夏の合宿でのことだった。うちのバスケ部は毎年、校内合宿をしていて、その日は夜遅くまで体育館で練習していたんだ。ようやく練習が終わり、片付けをしているときだった。静まり返った校舎の方から、奇妙な音が聞こえてきた。「……ん?」耳...
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#338 交差点の悪魔

「会社の近くの大きい交差点、あの信号機の上さ、知ってるか? 夜になると、何かがいるんだよ。じっと交差点を見下ろしてる“あいつ”がさ」今思えば、同僚にそう言われて、そこを確認したことがすべての元凶だった。深夜の交差点は不気味なほど静かだ。その...
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#335 子供の森

バス停の向かい、小さな児童公園の入り口に、白く四角い板が一本の柱にくくりつけられている。文字も絵もない。ただの真っ白な看板だ。広告の準備中かと思ったが、数日経っても何も書き加えられることはなかった。「何か建つのかな」「誰かのいたずら?」通り...
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#331 隣の子供

新しく引っ越したアパートは、築年数こそ古いが部屋も綺麗で家賃も安かった。駅からも近く、周辺環境も申し分ない。「掘り出し物だな」そう思って喜んでいたのも束の間だった。引っ越して数日後、夜遅く仕事から帰り、ベッドに横たわった時のことだ。隣の部屋...
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#328 怪談の食卓

その街の路地裏には、看板のない小さな食堂があるという。この食堂の主人は、『怪談ハンター』と呼ばれる奇妙な男だ。「お客さん、怖い話はお好きですか?」店主は、訪れた客にいつもそんなふうに問いかけるらしい。――ある蒸し暑い夏の日、私は偶然その食堂...
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#323 共鳴の檻

それは、たまたま見つけた小さなオンラインサロンだった。「ここなら、あなたの本当の声が届く」そんな文句に惹かれ、俺はそのサロンに足を踏み入れた。最初は、心地よかった。誰もが俺の考えに賛同し、意見を交換するたびに「わかる」「その通りだ」「もっと...
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#321 赤い目の女

それは突然、小さな村を襲った。ある日、最初の犠牲者が出た。農作業中だった老夫婦の夫が、突然苦しみだし、その日の夜には息を引き取ったのだ。死因はわからず、村でただ一人の医師である私も首をかしげるばかりだった。ただ、死の間際に彼の体には不気味な...
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#319 夜の行商人

夜道を急いでいたら、「おひとついかが?」という声をかけられたんです。振り返ると、そこには異様な雰囲気の行商人が立っていました。月明かりの下で見るその姿は、年齢も性別もよく分からない。影のように痩せ細った体を黒いマントで覆い、顔には深くフード...
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#318 書庫の奥に眠るもの

その書庫は、図書館の地下深くにありました。一般公開されることはなく、特別な許可を得た研究者だけが入ることを許されている場所です。私はある研究のために、特別に入室を許可されていました。薄暗い部屋に並ぶ古い木製の棚は、黴のような匂いを漂わせ、時...
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#316 刻印を破る夜

もし命と引き換えに望むものが手に入ると言われたら、あなたはどうしますか?その選択を迫られた、あの日のことを今でも覚えています。人生のどん底にいたときです。仕事を失い、借金は膨らみ、家族にも見放され、すべてが終わったような気がしていました。そ...