不思議な話

ちいさな物語

#251 マリー・ベル嬢のお茶会へようこそ

丘の上に、古い洋館がある。レンガの壁は苔むし、鉄製の門はキーキーと軋む音を立てる。しかしそこには、今でも人の気配があった。――金曜の午後三時。風がやみ、空気が甘くなる。そう、マリー・ベル嬢のお茶会の日だ。「まあまあ、お待たせしてごめんなさい...
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#249 五月闇の雨宿り

眠れない夜、雨に誘われて家を出た少女がたどり着いた古い祠。深い五月闇の中で、だれかと静かに語り合う。
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#245 金魚すくいと約束

その夏、私は友人とふたり、町はずれの小さな神社で開かれる夏祭りに出かけた。屋台が並び、浴衣姿の人波がざわめく。けれど私たちの目的は、毎年この祭りにだけ現れるという“幻の夜店”だった。「今年こそ、見つけたいね」そう言って、友人の茜は私の手を引...
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#243 小石のバトン

それはただの、小石だった。歩道に落ちた、丸く削られた白い小石。加工されたものであることは一目瞭然。どこかの敷地に敷き詰められていたものを、子どもが拾って遊んでいたのだろう。通行人が意図せずそれを蹴飛ばし、転がった先は、都内の静かな住宅街の交...
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#240 夢の原液を売る店

「ねえ、あれ見た?」そんな噂からすべては始まった。通学路の途中、古ぼけたレンガ塀の裏に、いつのまにか現れていた露店。店というには奇妙で、店員らしき人物もいない。ただ、古い木の台が置かれ、その上に小瓶が並んでいるだけ。野菜の無人販売所といった...
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#234 はないちもんめ

「かってうれしい はないちもんめ まけてくやしい はないちもんめ」その歌は、ある日、世界中で流れはじめた。テレビでも、スマートスピーカーでも、コンビニのBGMでも。誰もがどこかで聞いたことのある童謡。でも、それが“合図”だとは、最初は誰も気...
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#232 午後三時のミルククラウン

午後三時になると、甘い香りが部屋いっぱいに漂う。最初に気づいたのは、休日の午後だった。 ちょうどコーヒーを淹れながら、冷蔵庫にあったプリンを食べようとした瞬間、背後から声がした。「こんにちは、おやつの精霊です!」振り返ると、そこには紅茶色の...
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#231 水曜日のポケット

「水曜日のポケットには、ちょっとした秘密があるのよ」そう言ったのは、祖母だった。わたしがまだ小学四年生だったころのことだ。祖母とわたしは、古い町にある小さな洋館にふたりで暮らしていた。町の人たちはみんなやさしく、毎日がのどかで、でもすこし退...
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#229 愛なき者

朝、目覚めたとき、部屋の空気が少し違っていた。テレビをつけるとニュースキャスターがにこやかに言っていた。「おはようございます。愛しています」それを受けて、司会者、ゲストらしき人々も次々に「おはようございます。愛しています」、「愛しています」...
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#227 うちの神様が一番かわいい

実家の神社に帰省すると、祭壇に手のひらサイズの神様がいた。尊大だけど、ちょっと頼りない神様との交流。