不思議な話

ちいさな物語

#143 どこまでも続く夜道で

少女は歩いていた。街灯の少ない夜道。足音だけが心細く響いていた。後ろを振り返っても、誰もいない。前に進んでも、何も変わらない。曲がり角を三回曲がれば元の道に戻るはず。けれど、五回でも十回でも、少女は同じ街角へ戻ってきた。「ここ……どこ?」自...
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#140 涙を拾う赤鬼の話

これはな、わしの村に昔から伝わっとる不思議なお話じゃ。その村のはずれにある山には、一匹の赤鬼が住んどった。
鬼と聞けば怖いかもしれんが、この赤鬼は心の優しい、ちいと変わった鬼じゃった。村で誰かが悲しくて涙を流しとると、赤鬼はどこからともなく...
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#135 山の神様とおむすび畑

干ばつの村。腹を空かせて山をさまよう太助がたどり着いたのは、おむすびがぽこぽこ実る、不思議な畑だった。
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#130 木蓮の歌

祖母の庭の木蓮は、咲く季節だけ歌っていた。祖母が逝ったその年、木蓮はもう、花をつけなかった。
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#128 手厚い葬儀屋

「あそこの葬儀屋、サポートが異常に厚いらしい」そんな噂を耳にしたのは、病院の帰りの居酒屋だった。退院してから、ここぞとばかりにいろんな知人に連絡をとって遊びまわっている。その知人の一人が酒を片手に話し始めた。「遺族への対応が丁寧なのはもちろ...
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#127 落ちてきた雲

朝、目を覚ました瞬間、異変に気づいた。カーテンを開けると、目の前の景色に息をのんだ。空はびっくりするほどの快晴で、そこは別にいいのだが、問題は――雲がすべて落ちてきていた。町中が、白くもこもこした塊で埋め尽くされている。電線も信号も、車も家...
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#126 桜の散る夜

昔々、と言うほどではないが、今よりずっと昔の話だ。ある村のはずれに、大きな桜の木があった。それは見事な一本桜で、春になると村中の者が見に行くほど美しかった。だが、不思議なことに、桜の散る夜にだけ、そこに娘が現れるという噂があった。その娘は、...
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#123 青い鳥

絵本から飛び出したように美しい青い鳥を、少年たちは捕まえてしまう。手のひらの中の奇跡を、どうすべきか。
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#122 祖父のビー玉

祖父の遺品から出てきた一粒のビー玉。のぞき込むと、そこには“もうひとりの自分”が映っていた。
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#113 満月の神渡し

昔々のとある山深い村の話だ。この村には、古くからの掟があった。「満月の夜、決して外へ出てはならぬ」子どもも大人も、この掟を守るのが当たり前だった。理由を尋ねると、年寄りたちは口を揃えて言った。「その夜は神が通る。もし鉢合わせすれば、二度と戻...