日常・現代

ちいさな物語

#028 地下鉄の幽霊が陽キャだった件

終電の車両で、誰もいない空間に楽しげに話しかける金髪の男。「なあ、あんたも見えてるんだろ?」——。
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#026 中山道の旅

「おい、そこの若者!」と呼び止められたのは、中山道の宿場を抜けて少しした頃だった。振り向くと、一人の侍風の男が立っていた。いや、侍風というのも妙な表現だが、何せその格好が奇妙だったのだ。立派な刀を腰に差しているものの、着物は古びて裾がほつれ...
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#025 地下迷宮の囁き

あの日、雨が降っていたんです。急に降ってきたんで、あわてて入った駅の地下街に入ったんですよ。普通に雑貨屋とか服屋やカフェが並んでいる本当にごく普通の地下街だったんです。雨がやむまでちょっとゆっくりしちゃおうかなって思って、あまり土地勘はなか...
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#024 見知らぬ守護霊

最初に違和感に気づいたのは朝顔を洗っていたときだった。鏡の中の自分の肩の辺りの空間が薄ぼんやりとにじんでいる。鏡が汚れているのかと思ったが、そのにじみは自分の動きにぴったりとついてくる。よくわからなかったが、たいしたことでもないので気にしな...
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#020 終わらない一日

この繰り返しが始まったのはいつからだろう。私はもう何度も、同じ一日を体験している。この日は私にとって人生最悪の日だ。大切な人を失うという、耐え難い悲劇の日。その朝、彼女と最後の口論をしたのを覚えている。くだらないことで言い争いになり、彼女は...
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#018 手のひらの宇宙

一人暮らしが味気なくて、何となくペットショップに立ち寄った。動物を飼うつもりはなかったが、動物と暮らす自分を想像をしてみてもいいかもしれないとふと思ったのだ。そこで出会ったのは、少し変わった模様のハムスターだった。背中に広がる斑点は、まるで...
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#012 パワハラ課長とカブトムシ

ある朝、パワハラ課長がカブトムシを頭に乗せて出社してきた。「これからは虫の王者とともに課を治める」——。
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#008 無限こたつ

家族四人で囲むこたつ。テーブルの上には湯気の立つ土鍋と、ごく普通だけど魅力的な具材が並んでいる。僕はデザートにと出してきたみかんを片手に、鍋が煮えるのを待っていた。「このこたつ、居心地いいよね」と妹もみかんをもてあぞびながら言った。僕も同意...
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#007 火星ステーションの事件

あれは確か、火星への2回目の赴任だったと思う。えーっと、地球の暦に換算すると……まあ、とにかく、あの時のことを話そう。火星ステーションに配属されてからというもの、日々の作業に追われていた。酸素濃度の管理、通信設備のメンテナンス、あとは食料の...
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#006 あなたのもとへ

あれはもう5年くらい前のことだ。最初にその手紙が届いたのは。ポストを開けたらちょっと古びた封筒が入っててさ。宛名が普通じゃなかったんだ。「いつかあなたのもとへ」ってだけ書いてある。差出人はなかった。中を開けると、薄い便箋に短い文章が書いてあ...