ほっこり

ちいさな物語

#142 ぶさいく犬の幸福論

あの日、ペットショップの片隅で一匹の犬と目が合った。いや、目が合ったというより、あまりにも気になって目が離せなかった。なにせその犬はとびきりブサイクだったのだ。鼻は潰れたように低く、目は変に離れている。耳も両方が変な方向に折れていて、足の長...
ちいさな物語

#140 涙を拾う赤鬼の話

これはな、わしの村に昔から伝わっとる不思議なお話じゃ。その村のはずれにある山には、一匹の赤鬼が住んどった。
鬼と聞けば怖いかもしれんが、この赤鬼は心の優しい、ちいと変わった鬼じゃった。村で誰かが悲しくて涙を流しとると、赤鬼はどこからともなく...
ちいさな物語

#139 我らNPC、ニセ勇者御一行様

「我々って、もしかして脇役ですか?」そんな疑惑が冒険の最中に浮上したのは、仲間たちが焚き火を囲んだある夜のことだった。一応、魔王討伐を掲げてはいるものの、勇者でも賢者でもない、戦士でもない。はたまた謎めいた美しき姫君でもなければ、魔王討伐を...
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#135 山の神様とおむすび畑

干ばつの村。腹を空かせて山をさまよう太助がたどり着いたのは、おむすびがぽこぽこ実る、不思議な畑だった。
ちいさな物語

#134 失敗したテレポート

休日の朝、シャワーを浴びようと浴室の扉を開けると、浴槽の中に見知らぬ男の上半身があった。「すみません、失敗しちゃいまして」男は申し訳なさそうに笑い、軽く頭を下げた。「え、えっ? 誰ですか!?」私は驚いて後ずさったが、男は穏やかな声で続けた。...
ちいさな物語

#133 ダンジョンの看板

「おい、本気で行くのか?」 背後からジークが声をかけてきた。 「他に方法がないだろ?」 俺たちは迷宮探索者、いわゆるダンジョン攻略のプロだ。だが、今回の依頼は異質だった。 「看板に書かれていることが必ず起こるダンジョン……か」 俺は目の前の...
SF

#132 一人きりの戦争

僕はこの星に来た最初の人間だった。惑星オルフィス。
この新しい星に、僕以外の人間はいない。
共に暮らす仲間は、すべてアンドロイドだった。僕は特に母親代わりのアンナや祖父のような距離で見守ってくれたエリックが大好きだった。彼らは機械だが、僕に...
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#131 祠の管理人

どうしてこうなったのかは分からないが、僕は気が付けば、小さな祠の管理人になっていた。転生した先が伝説の勇者でもなく、かといって魔王でもなく、さして重要ではない祠の管理人だなんて、誰が想像できただろうか。もちろんチートも何もない。初めて目を覚...
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#130 木蓮の歌

祖母の庭の木蓮は、咲く季節だけ歌っていた。祖母が逝ったその年、木蓮はもう、花をつけなかった。
ちいさな物語

#123 青い鳥

絵本から飛び出したように美しい青い鳥を、少年たちは捕まえてしまう。手のひらの中の奇跡を、どうすべきか。