くすっと笑える

ちいさな物語

#425 盤上に消える

古びた喫茶店の片隅に置かれた知らないボードゲーム。遊んだ仲間の一人が、次のターンが来る前に姿を消した。ゲームは続き、盤上の駒は消えた友人の席を指し示す。恐怖と好奇心の板挟みのまま、残された者たちはダイスを振る手を止められなかった。(文字数:...
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#421 ウィジャボードの夜

大学二年の夏、僕は友人の洋平と美咲に誘われて、アパートの一室でウィジャボードをすることになった。夏休みだったのでちょっと怖い遊びをしてみたかったんだろう。ボードには文字や数字が並び、プランシェットを動かす遊びだということくらいは知っていたが...
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#420 自販機に選ばれし者

その自販機は、商店街の外れにひっそりと置かれていた。パッと見は普通のドリンク自販機だ。ラインナップもコーラ、緑茶、スポーツドリンク、缶コーヒーと一見なんの変哲もない。しかし、その自販機には奇妙な噂があった。「客を選ぶ」らしいのだ。どういうこ...
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#417 深夜二時の無言電話

深夜二時、携帯の留守番電話に非通知の着信履歴が残っている。最初の1、2回は気にも留めなかった。「間違い電話だろう」そう思って履歴を削除した。だが、それは毎晩、同じ時刻に繰り返される。留守電も残っており再生してみると、録音されているのはただの...
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#416 取り扱い注意! 人間充電器

いや、これマジの話なんだけどさ、人間がスマホみたいに充電できるようになったんだよ。最初にニュースでその技術が紹介されたとき、さすがに冗談かと思った。「USB-Cで充電できます!」とかアナウンサーが言ってて、新しいギャグかな、と。でも、数年後...
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#412 値上げの向こう側

「また値上げかよ……」スーパーのカゴに商品を入れるたび、俺の溜息は深くなる。仕事帰り、夜7時過ぎ。自動ドアが「ピンポーン」と鳴ると、これから見るであろう値札を想像し、もうそれだけで気が重い。スーツ姿のままカゴを手に取り、いつものルートを歩く...
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#411 ニンゲンモドキ育成ゲーム

いや、ちょっと変な話をするけどさ、聞いてくれるか?ほら、昔からあるだろ、「育成ゲーム」ってやつ。卵からモンスターが孵ったり、仮想のペットを世話したりするあれだ。俺も子どもの頃にハマってな、学校でこっそりやっては先生に取り上げられたもんだよ。...
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#406 ホラー道場深夜の稽古

真夜中の二時。布団の中で動画を眺めていた俺の前に、唐突にそれは現れた。白い服、長い黒髪。いかにも幽霊という見た目だ。だが、問題は「演技」だった。「う、うら……め……しやぁ……」語尾が上ずり、間の取り方も悪い。足はしっかり床についており、ただ...
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#405 福龍軒の秘密

福龍軒は、駅から少し外れた路地裏にある。古びた赤い看板、かすれた漢字、灯りの弱い裸電球。初めての人には少し不気味に映るかもしれないが、地元では「隠れた名店」として評判だ。辺鄙な場所なのに客足が途絶えることがない。店主の張さんは寡黙な人物で、...
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#401 秘密戦隊父と母

押入れの掃除なんて、正直気が進まなかった。古い布団やら黄ばんだ雑誌やら、どうせガラクタばかりで大変なのは目に見えていた。ただ、捨てられない大量のマンガ本をしまう場所がほしいと言ったら、押入れを片付けたら、空いたスペースを使っていいと言われた...