寝る前に

ちいさな物語

#045 口の悪い鏡

引っ越し先の古い鏡が、毎朝こちらに悪口を浴びせてくる。「また太ったな」——憎らしいのに、なぜか目が離せない。
ちいさな物語

#044 親友の秘密

最近、あるチャットアプリにハマっている。そこでは匿名で世界中の誰とでも話せるのだ。ある日、僕は「カエサル」というハンドルネームのユーザーと知り合った。最初は他愛ない雑談だったが、彼の話はちょっとないくらいに知的だった。カエサル: 「今日のニ...
ちいさな物語

#043 午前二時のケーキ屋

「いらっしゃいませ」 カラン、と控えめなベルの音とともに、店の奥から店員が現れる。 白いエプロンをつけた女性は、穏やかに微笑んでいた。年齢不詳だがきれいな女性だ。目元には優しさがにじみ、どこか懐かしい雰囲気を醸し出している。 「お好きな席へ...
ちいさな物語

#039 選ばなかった道の先に

俺には、「もしも」が見える。たとえば、目の前に二つの選択肢があったとする。右へ行くか、左へ行くか。その瞬間、脳裏にぼんやりとした映像が浮かび上がる。右を選べば雨に降られ、左を選べば財布を落とす。どちらがマシかを考え、俺は最善の道を選ぶことが...
ちいさな物語

#038 除霊会社の専属霊媒師(見習い)

やる気ゼロの先輩と、事故物件専門の新米霊媒師。今日も“視えすぎる”部屋に踏み込む、ゆるくて頼れる除霊コンビ。
SF

#032 星間トンネル

私は長いことこの旅を夢見ていた。地球から遠く離れた惑星シリウスBまで、一気にワープする宇宙旅行。だが、ただのワープではない。途中には「星間トンネル」と呼ばれる特別な空間があるのだ。星間トンネルとは、宇宙の裂け目を利用して通常の空間とは異なる...
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#031 後宮の影に咲く花

後宮の暮らしは、美しく輝いているように見えるだろう。煌びやかな着物をまとった妃たちが宮殿を歩き、香が漂う中、静かに時が流れていく。けれど、そこに仕える下女の世界は、泥で濁った沼のようなものだ。誰かが足を取られて沈むのをみんな期待して待ってい...
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#030 知らない子

いやさ、俺も驚いたんだよ。その夜、残業でくたくたになっていた俺はスマホに留守電が入っているのに気づいた。親から着信が入っていて「今度、お前のところに田舎の親戚の子が行くから、しばらく面倒見てやってくれ」って。いや、俺、仕事忙しいし、何でそん...
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#029 勇者一行観察日記

まあ、こんなこと人にはあまり言えないけど、私はずっと勇者一行を尾行しているんだ。そう、あの有名な勇者だ。魔王討伐の旅に出たという噂の一団。その行く先をこっそり追いかけ、日々の日記に克明に記している。動機?それはまだ秘密だ。初日、彼らが出発す...
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#028 地下鉄の幽霊が陽キャだった件

終電の車両で、誰もいない空間に楽しげに話しかける金髪の男。「なあ、あんたも見えてるんだろ?」——。