日常・現代

ちいさな物語

#392 都市伝説を考える会

先週の金曜、友人に妙な会合に連れて行かれた。名前は「都市伝説を考える会」。聞いただけで胡散臭いだろう?薄暗い喫茶店の二階に十人ほど集まっていて、皆が輪になって話していた。年齢も職業もバラバラ。スーツ姿の中年、フリーター風の若者、妙に落ち着い...
ちいさな物語

#388 最後の盆踊りの夜に

これから話すのは、ほんの少し昔、僕が小学五年生だった夏休みの最後の夜の出来事なんだ。田舎の小さな村だから、毎年盆踊り大会が開かれるんだけど、今年もその日がやってきた。夏休みの終わりに合わせて行われるから、僕ら子供にとっては夏のフィナーレだ。...
ちいさな物語

#384 しおちゃんと僕

しおちゃんこと、間宮栞のことを説明するのは、本当に難しい。小さい頃から一緒で、僕にとっては当たり前の存在だった。けれど、他人から見たら、彼女は「びっくりするほど綺麗で、びっくりするほど性格が悪い女の子」だ。あれほど両極端な人間は、たぶんそう...
ちいさな物語

#383 画鋲の町

僕の机の引き出しには、小さな箱に入った銀色の画鋲がある。文房具屋で買ったときは50個入りで、使い切ることなんて一生ないと思っていた。何しろ壁に画鋲でとめるものなんてそんなにない。お母さんからは壁に穴だらけになっちゃうからあまりたくさんは使わ...
ちいさな物語

#382 月見の夜の奇妙な話

正直、この話は今でもちょっと自分でも信じられないんだ。あれは僕がまだ高校生だった頃の秋の夜。中秋の名月が近いってことで、友達のカズとケンジと三人で、「今年はちゃんと月見でもしようぜ」と話していたんだ。けど、僕らはどちらかというと、真面目に団...
ちいさな物語

#379 虚無ガチ勢の夏

「ガチ勢」って言葉、最近よく聞くだろう?どんな趣味でも、必ずガチな人がいる。釣りガチ勢、アイドル追っかけガチ勢、猫吸いガチ勢、断捨離ガチ勢。だが、僕の隣に住んでいたあの人は一味違った。「俺は虚無ガチ勢だ」と堂々と名乗るその男、村瀬さん。最初...
ちいさな物語

#376 夏空を渡るクジラ

今年の夏は、どうにも蒸し暑くて、毎日が退屈だった。セミの声ばかりが響く昼下がり、僕は屋上で空を眺めていた。団地の屋上は子供たちの秘密基地だったけれど、このごろは飽きてしまったのか誰も来ない。僕は寝転がって雲を見ていた。白い雲の切れ間に、ぽっ...
ちいさな物語

#374 花火大会の奇談

もしよかったら、ちょっとだけ私の話を聞いてくれませんか。あの夜、今でも夢か現実か分からないくらい、不思議で忘れられない出来事だったんです。もう何年も前の夏、私は2歳になったばかりの息子を連れて、市の花火大会へ出かけました。夫は数年前に事故で...
イヤな話

#373 沈黙のランチ

昼休みのチャイムが鳴ると、私はパソコンを閉じる。ミユキがこちらに歩いてくるのが視界の端に見えた。予想通り、「ランチ行こ」の声。断ろうと思えば断れたのだろう。でもそれも面倒くさかった。ミユキは部署のムードメーカーだとみんな言う。人当たりがいい...
ちいさな物語

#372 異国のコイン

朝の通勤途中、電車の座席に腰を下ろしたとき、何気なくズボンのポケットに手を突っ込んだ。指先に触れたのは、冷たく硬い金属の感触だった。取り出してみると、それは見たこともないコインだった。大きさは百円玉ほどだが、妙にずっしりしている。片面には王...