日常・現代

ちいさな物語

#337 カウンターの男

「信じてもらえないかもしれないけど、このバーに幽霊がいるって知ってるか?」隣の席の男が唐突に話しかけてきた。その夜、僕はいつものように馴染みのバーで一人、静かな時間を楽しんでいた。彼の声は静かな店内にしっくりと馴染み、不思議な雰囲気を作り出...
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#333 不条理百貨店へようこそ

いつの間にか、その百貨店に足を踏み入れていた。目の前には巨大な吹き抜けが広がり、華やかな照明と軽やかな音楽が流れている。しかし、不思議なことに、入り口を通った記憶がまったくなかった。もしかしてこれは夢か?受付に立っていた店員に、ここがどんな...
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#330 迷宮のうた

目を開けると、石の天井があった。ひんやりとした空気と、かすかに漂う鉄と苔の匂い。私は、なぜここにいるのかも思い出せないまま、立ち上がった。四方を囲むのは、重厚な石の壁。奥へと続く一本の通路があり、私は迷うことなくそこを歩き出した。歩き続ける...
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#326 最後のプレイヤー

「世界を賭けたカードゲームだよ」気がついたとき、僕は見知らぬ部屋にいた。薄暗い天井からぶら下がる裸電球が、テーブルの上に鈍い光を落としている。向かいには三人の男が座っていた。テーブルには古びたカードが並び、そのどれもが長い年月そのもののよう...
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#324 幽霊の相手をするおじさんの話

「あの古びた商店街で見かけるおじさん、なんか普通じゃない気がしてさ。聞いてみたら、幽霊の相手が仕事だって言うんだよ」俺が大学生だった頃、地元に帰るたびに通る商店街があったんだ。昼間でも人通りが少なくて、どこか寂れた感じの場所だった。そこの片...
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#322 終わらない物語

夜が更けるほどに、私は本の世界に没頭していた。読み進めても読み進めても、物語は終わらない。奇妙な予感が胸をよぎる。古書店で偶然見つけたその本は、表紙に「物語は繰り返される」とだけ書かれていた。著者名も出版社も記されていない、不気味なほど無機...
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#317 背後のブロッコリー

おかしいんだ。背後霊って、もっとこう不気味なものだろ?  でも俺に取り憑いてるのはブロッコリーなんだ。しかも妙に喋る。最初にその存在に気がついたのは、仕事帰りの電車の中だった。立っていると、首筋の辺りに奇妙な気配がする。振り返ってみても、誰...
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#313 扉の向こう、夕陽の果て

残業につぐ残業。しかし労働環境がブラックといわれると、そこがすごく曖昧だ。有給は頑張ればなんとか取れる。上司は厳しいが、ぎりぎり常識の範囲内。ただ、人手不足なのか、残った人員への仕事は日に日に増えていく。いっそ笑えるくらいのブラックな環境で...
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#312 空のリモコン

その朝、窓の外には青空が広がっていた。夜の間に雨が降っていたはずだが、地面は乾ききっていて、木々の葉もさらさらと風に鳴っている。広瀬尚人は、いつもより軽い足取りで階段を降り、テレビのリモコンを手に取った――が、実はそれはテレビのリモコンでは...
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#308 最強バカップル

日曜日の昼下がり、僕はカフェでのんびりとコーヒーを飲んでいた。窓際の席で外を眺めながらぼんやりしていると、向かいの広場に尋常じゃないほど目立つ二人組が現れた。それはまさに「バカップル」と呼ぶにふさわしい光景だった。まず、二人ともお揃いの派手...