日常・現代

イヤな話

#156 編みもやし

最初に「編みもやし」を見たのは、テレビの料理番組だった。「今、大流行の編みもやし! もやしを編んで料理すると、驚きの食感に!」そう言いながら、司会者が皿を掲げた。画面には、見たこともない奇妙な料理が映し出される。細いもやしが編み込まれ、綺麗...
イヤな話

#155 鳥型ドローンのもたらしたもの

これは、数年前の話なんだけどね――そう、あの頃はちょうどドローン作りにハマっててさ。よくある市販のドローンなんて面白くないから、自分でリアルな鳥そっくりの「リモコンバード」を作ったんだよ。羽ばたきも完全再現。知らない人が見たら、絶対本物と区...
ちいさな物語

#154 マルチ勧誘VS結婚詐欺師

ネットで出会ったその女性は、僕にとって理想のターゲットに思えた。実際にカフェで会ってみるとその予想は確信に変わる。美人だが地味な服装で、世間知らずそうなふわっとした笑顔。人当たりがよく、押しに弱そうだ。マルチ勧誘を生業にしてきた僕の直感が、...
ちいさな物語

#152 消えた親友

それは雨の日曜日だった。大学に合格し、春から一人暮らしをすることになった。そのための部屋の片付けをしていた僕は、ふと昔のアルバムを手にする。写真の中には、小学生の頃の僕が満面の笑みを浮かべている。写真の中で僕は知らない少年と楽しげに肩を組ん...
ちいさな物語

#149 幽霊のお仕事

あんた、幽霊の仕事って聞いたことあるか? いや、本物の幽霊じゃない。あ、幽霊っちゃ幽霊なんだけど――説明が難しいな。とりあえず、俺は死んだ。でもそのまま成仏せず、心霊スポット専門の幽霊として働いてるっていったらわかるかな。仕事内容は簡単だ。...
イヤな話

#147 近すぎる叔母

「昨日、デート楽しかったんでしょ? あの人、いい感じ?」近所に住む叔母が不意に私に聞いてきた。驚きで喉が詰まった。確かに昨日、初めてのデートだったが、誰にも話していない。「どうしてそれを?」叔母はいたずらっぽく笑っている。「そんなのすぐわか...
ちいさな物語

#143 どこまでも続く夜道で

少女は歩いていた。街灯の少ない夜道。足音だけが心細く響いていた。後ろを振り返っても、誰もいない。前に進んでも、何も変わらない。曲がり角を三回曲がれば元の道に戻るはず。けれど、五回でも十回でも、少女は同じ街角へ戻ってきた。「ここ……どこ?」自...
ちいさな物語

#138 芽吹く荷物

その荷物が届いたのは、雨の降る夕方だった。玄関の前に置かれた段ボール箱。宛名には僕の名前と住所が書かれていたが、差出人の欄はかすれて読めない。通販を頼んだ覚えはないが、もしかしたら家族の誰かが注文したものを仕送りとしてそのまま転送した、とか...
ちいさな物語

#134 失敗したテレポート

休日の朝、シャワーを浴びようと浴室の扉を開けると、浴槽の中に見知らぬ男の上半身があった。「すみません、失敗しちゃいまして」男は申し訳なさそうに笑い、軽く頭を下げた。「え、えっ? 誰ですか!?」私は驚いて後ずさったが、男は穏やかな声で続けた。...
ちいさな物語

#130 木蓮の歌

祖母の庭の木蓮は、咲く季節だけ歌っていた。祖母が逝ったその年、木蓮はもう、花をつけなかった。