くすっと笑える

ちいさな物語

#037 焼けないケーキ

俺の名前は翔太。普通の会社員だったが、ある日思いつきでYouTubeを始めた。「素人がケーキを焼く」という企画だ。料理経験ゼロの俺が悪戦苦闘する様子がウケるんじゃないか、と思ったわけだ。最初の動画は、予想以上にひどかった。卵を割ろうとしたら...
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#035 大統領たちの戦場

人類はようやく「戦争」という概念を進化させた。それは命を奪う血なまぐさい戦場ではなく、世界中のゲーマーが戦場となる仮想空間で戦う「デジタルウォー」だった。勝敗によって国同士の領土や資源が動く仕組みで、リアルの犠牲者はゼロ。だが、それが平和と...
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#033 実況! お弁当戦線

昼休み、弁当箱を開けた瞬間に脳内実況がスタート。最大の難敵は、正体不明の「謎の小袋」——。
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#026 中山道の旅

「おい、そこの若者!」と呼び止められたのは、中山道の宿場を抜けて少しした頃だった。振り向くと、一人の侍風の男が立っていた。いや、侍風というのも妙な表現だが、何せその格好が奇妙だったのだ。立派な刀を腰に差しているものの、着物は古びて裾がほつれ...
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#023 瞳をとじて

酔った勢いで「目を閉じても絵が描ける」と豪語した翌朝、鏡の中の自分の顔は、見事な“芸術”で埋まっていた。
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#012 パワハラ課長とカブトムシ

ある朝、パワハラ課長がカブトムシを頭に乗せて出社してきた。「これからは虫の王者とともに課を治める」——。
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#011 三時間だけの同窓会

ふらりと立ち寄った酒場で、見知らぬ男たちが親しげに手招きする。会ったことなどないはずなのに、胸の奥がざわついて——。
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#005 最後の一杯

禁酒を決めたのは昨日のことだ。だが、今日の晩酌だけは例外にしてやろうと、最後の一杯を注いだ。最後を飾るのにふさわしい酒を昼に準備しておいたのだ。やはり禁酒にも儀式めいた何かが必要だろうと突然思いついたのだ。だが、この一杯で今度こそ終わり。明...
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#004 密林研修

会社の研修で訪れたアマゾンの密林。研修担当者は笑顔で言った。「これから君たちには、自己成長のためのサバイバルを体験してもらう!」社員たちは軽いアウトドア体験だと思い込んでいた。だが、案内されたキャンプ地には食糧も水もなく、社用のノートパソコ...