くすっと笑える

SF

#490 冬の花火と宇宙人八割時代

地球がかなり宇宙勢力に負け始めていると気づいたのは、確か三年前の冬頃だったと思う。ニュースで「すでに世界人口の八割が宇宙人でした」と発表されたのがきっかけだ。アナウンサーが笑顔で言っていた。まるで「明日は晴れるでしょう」と同じテンションで。...
ちいさな物語

#489 全力バカ選手権

ことの発端は、昼休みのどうでもいい雑談だった。「人生で一番、くだらないことに本気を出したって経験ある?」営業の中村が唐突にそう言ったのだ。みんなポカンとしていたが、彼は真顔で続けた。「昨日、家のティッシュ箱の残りを何秒で引ききれるか、本気で...
ちいさな物語

#484 ロボット掃除機、逃走中

うちのロボット掃除機が逃げた。本当に、逃げた。電源も入れてないのに、玄関のドアの隙間からスッと出ていったのだ。夜中の二時。寝ぼけた俺の目には、あの丸いフォルムがまるで忍者のように見えた。「おい! お前、どこに行く!」叫んだが、返事はない。代...
ちいさな物語

#482 かわいすぎる親友

「なあ、どう思う?」昼休み、いつものようにコンビニ弁当を食べていた俺の前に、見知らぬ女子が立っていた。いや、正確には女子じゃない。「……お前、マジで誰?」「俺だよ、健太」それを聞いた瞬間、弁当の唐揚げをのどに詰まらせた。ゴホゴホ言いながら、...
ちいさな物語

#480 六角の席

その日は教室の席替えの日だった。いつもなら机を動かして終わりなのに、急に担任が妙に楽しげに言った。「今日から特別な配置にする。六角形だ」うちの担任は少し変わっていて、いきなりこういうことをしだすのはよくあることだった。クラス中が「ハイ、ハイ...
ちいさな物語

#475 ツッコミは2秒以内

勇者として選ばれたとき、正直、少しだけ泣いた。幼い頃からの夢だったからだ。剣に選ばれ、神託を受け、命に代えても魔王を倒す。それが俺の運命――のはずだった。しかし、初めて仲間と顔を合わせた瞬間、これまでゆるぎなかった自分の運命に疑問を抱いた。...
SF

#471 宇宙海賊の長い一日

楽して稼ぐのが信条の宇宙海賊。無人の貨物船のはずが、おしゃべりAI相棒と、とんだ厄日に巻き込まれていく。
ちいさな物語

#468 作られた呪物

「なあ、呪いのアイテム作ろうぜ」昼休み、いきなりそんなことを言い出したのは友人の小田だった。「……お前、また変な動画でも見たのか?」「違うって! 『呪物作ってみた』系の動画が流行ってんの! それで俺らもやってみようぜって」変な動画、見てるじ...
ちいさな物語

#467 異世界転移! 防災リュックの中身がチート級で楽勝?

会社の防災訓練。たったそれだけのはずだった。なのに、今俺は剣を握りしめ、火を吐くトカゲみたいな魔物に囲まれている。——なぜこうなったのか。話せば長い。その朝、課長が妙に面倒くさそうに言った。「今日、防災訓練。各部署から一名ずつ参加……だそう...
ちいさな物語

#461 商店街サバイバルゲーム

俺たちの商店街で「サバイバルゲーム」が始まったのは、文房具店のカミさんが言い出したのがきっかけだった。「そんな喧嘩するくらいなら、いっそゲームで決めちまいな」実はうちの商店街は最近派閥争いが激化していた。二つに割れた派閥――若手派と古参派。...