寝る前に

ちいさな物語

#128 手厚い葬儀屋

「あそこの葬儀屋、サポートが異常に厚いらしい」そんな噂を耳にしたのは、病院の帰りの居酒屋だった。退院してから、ここぞとばかりにいろんな知人に連絡をとって遊びまわっている。その知人の一人が酒を片手に話し始めた。「遺族への対応が丁寧なのはもちろ...
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#127 落ちてきた雲

朝、目を覚ました瞬間、異変に気づいた。カーテンを開けると、目の前の景色に息をのんだ。空はびっくりするほどの快晴で、そこは別にいいのだが、問題は――雲がすべて落ちてきていた。町中が、白くもこもこした塊で埋め尽くされている。電線も信号も、車も家...
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#126 桜の散る夜

昔々、と言うほどではないが、今よりずっと昔の話だ。ある村のはずれに、大きな桜の木があった。それは見事な一本桜で、春になると村中の者が見に行くほど美しかった。だが、不思議なことに、桜の散る夜にだけ、そこに娘が現れるという噂があった。その娘は、...
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#123 青い鳥

絵本から飛び出したように美しい青い鳥を、少年たちは捕まえてしまう。手のひらの中の奇跡を、どうすべきか。
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#122 祖父のビー玉

祖父の遺品から出てきた一粒のビー玉。のぞき込むと、そこには“もうひとりの自分”が映っていた。
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#120 城

あれは妙な一日だったよ、ホント。
朝起きたらいきなり城から来たとかいう使者が家の前に立っててさ、ものすごい丁寧な口調で「あなた様をお迎えにあがりました」って言うわけ。
俺、普通の庶民よ? 貴族でもないし、城に縁なんてあるわけないのにさ。人違...
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#115 ダンジョン・エスコートサービス

「いらっしゃいませ、本日は『ダンジョン・エスコートサービス』をご利用いただき、誠にありがとうございます」赤い口紅が映える艶やかな微笑みを浮かべ、案内人の女性が客人を迎えた。彼女の名はレイナ。かつては名の知れた魔法剣士だったが、現在はこの「ダ...
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#113 満月の神渡し

昔々のとある山深い村の話だ。この村には、古くからの掟があった。「満月の夜、決して外へ出てはならぬ」子どもも大人も、この掟を守るのが当たり前だった。理由を尋ねると、年寄りたちは口を揃えて言った。「その夜は神が通る。もし鉢合わせすれば、二度と戻...
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#112 宙を泳ぐ魚

古びた食堂のカウンターに座り、俺は旬の焼き魚定食を前にした。魚の種類が季節によって変わる人気の定食だ。脂ののった焼き魚が湯気を立て、芳ばしい香りを漂わせている。箸を持ち、ふっくらしたその身をほぐそうとした、その瞬間だった。魚の体が微かに震え...
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#108 屋上は海の底

「屋上は海の底だよ」 彼女がそう言ったとき、僕は初めて自分の足元に意識を向けた。空に一番近いはずの場所で、足下に波打つ海の気配を感じるというのは、どこか奇妙な感じがした。僕の住むマンションには、奇妙な噂がある。『深夜0時を過ぎた頃、屋上に行...