寝る前に

異世界の話

#485 小さな光の魔法

この魔法は本当にくだらない。指をパチンと鳴らせば小さな光が灯る。ただそれだけ。熱もないし、眩しさもない。道を照らすにも弱すぎる。見せても笑われるだけだ。手品の一種だと思われているみたいだが、手品にしても地味極まりない。「そんな魔法、ホタルの...
ちいさな物語

#481 霜柱の神さま

冬の朝ってさ、空気が張り詰めてるだろ。息をするだけで、胸の奥まで冷えるようなあの感じ。俺は昔から冬の朝が好きだった。特に、霜柱を踏む音。しゃり、しゃりって音がたまらない。子どものころからそうだった。学校へ行く道すがら、道端の霜を見つけては、...
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#479 記憶配達人

俺の仕事は配達人だ。……と言っても、新聞配達や宅配便とは違う。俺が届けるのは、「記憶」。人の記憶と世界のあいだに生じた矛盾を埋めるため、存在しなかった出来事を、あたかも「あったこと」のように届ける。そうすることで、世界は平穏を保つ。世界は、...
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#477 雨の日だけ来る友だち

雨が降ると、彼はやってくる。そのことに最初に気づいたのは、私が9歳くらいの頃だった。梅雨時の薄暗い放課後、家でひとり退屈していると、玄関の呼び鈴が鳴った。覗き窓から見ると、見知らぬ少年が立っていた。青白い肌に黒い雨合羽を着て、髪からは水滴が...
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#470 師匠と歩いた五日間

「師匠、さっきも休憩しましたよね?」「うん、したね。でも、また休憩したくなったんだ」いつも通りの返答だった。私は深くため息をついた。私の師匠、フェルディナント・エイグルは、王都でも名の知れた魔法使いだ。いや、一応はそう呼ばれているが、実際は...
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#469 私は神様

最初にその地図を描いたのは、退屈な授業中だった。私はノートの端に自分だけの地図を描いて遊んでいた。丸い半島、曲がりくねった川、中央に大きな山脈。なんとなく名前もつけた。「レムリア大陸」。それはその時間だけの遊びのはずだった。でも、次の日、ノ...
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#464 神様の同居人

あの日、俺は神様に出会った。帰り道、駅前の公園で見かけたボロボロの男がいた。汚れた着物に裸足、白い髪は乱れ、目の焦点が合っていない。手には段ボールの札があり、こう書かれていた。「信仰をください」初めは、ただの浮浪者だと思った。だが、彼のいる...
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#462 宇宙人たちの侵略会議

あれは、数年前のことだ。正直、信じてもらえるとは思っていない。けれど、僕はあの日、本当に「宇宙人の侵略会議」を聞いてしまったんだ。その晩、僕は会社の帰り道、公園のベンチに腰を下ろしてコンビニで買ったコーラを飲んでいた。一人でこうやってくつろ...
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#459 スクランブル交差点のハイタッチ

聞いてくれ。渋谷スクランブル交差点で、最近とんでもない現象が起きてるんだ。俺が最初に見たのは金曜の夜だった。人混みの中、サラリーマンが突然すれ違いざまに若者とハイタッチしたんだよ。「パァン!」っていい音立ててな。で、二人とも満面の笑み。「え...
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#455 コスプレ異世界転生記

いや、聞いてくれよ。俺さ、まさか本当に異世界転生するとは思ってなかったんだ。トラックに轢かれて気づいたら光に包まれて、あのベタな展開だ。「次に目を覚ましたら魔法と剣の世界で無双するんだろうな」って、頭の片隅で期待してたよ。――で、目を開けた...