ファンタジー

ちいさな物語

#266 虹を捨てる場所

「消えた虹は、どこへ行くんだろう?」少女のふとした疑問が、森の奥のふしぎな場所へ導いていく。
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#245 金魚すくいと約束

その夏、私は友人とふたり、町はずれの小さな神社で開かれる夏祭りに出かけた。屋台が並び、浴衣姿の人波がざわめく。けれど私たちの目的は、毎年この祭りにだけ現れるという“幻の夜店”だった。「今年こそ、見つけたいね」そう言って、友人の茜は私の手を引...
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#232 午後三時のミルククラウン

午後三時になると、甘い香りが部屋いっぱいに漂う。最初に気づいたのは、休日の午後だった。 ちょうどコーヒーを淹れながら、冷蔵庫にあったプリンを食べようとした瞬間、背後から声がした。「こんにちは、おやつの精霊です!」振り返ると、そこには紅茶色の...
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#231 水曜日のポケット

「水曜日のポケットには、ちょっとした秘密があるのよ」そう言ったのは、祖母だった。わたしがまだ小学四年生だったころのことだ。祖母とわたしは、古い町にある小さな洋館にふたりで暮らしていた。町の人たちはみんなやさしく、毎日がのどかで、でもすこし退...
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#230 転生したらパーティにコンビニ店員がいた件

「転生です、おめでとうございます」白い空間で、ローブ姿の女神らしき人がそう告げた。よくある異世界転生モノだ。事故で命を落とした僕は、第二の人生を歩むらしい。「ではスキルを選んでください。剣? 魔法? 錬金術? 他に希望があれば、対応できるか...
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#227 うちの神様が一番かわいい

実家の神社に帰省すると、祭壇に手のひらサイズの神様がいた。尊大だけど、ちょっと頼りない神様との交流。
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#225 狐面売りの男

祭りの夜は、人々が浮かれているせいか、普段とは違った空気が漂っている。夏の生温かい風に乗って、屋台から流れてくる甘ったるいベビーカステラの匂いやイカ焼きの香ばしい匂いが鼻をくすぐった。僕はひとりで、人混みの隙間を縫うように歩いていた。毎年こ...
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#223 眠れぬ夜の博物館

静かな街に、時計台が十二時の鐘を響かせた。月明かりの下、僕は深呼吸をして、そっと博物館の門を押した。ここは、子供の頃から僕が一番好きな場所だった。昼間は人々で賑わい、笑い声と足音が絶えないが、真夜中には何かが起きるという噂が密かに広まってい...
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#219 世界を救った臭い靴

「靴を脱げ、勇者よ!」長老の真剣な声が響くと、僕は困惑した表情で自分の足元を見た。靴?「早く、その靴の臭いで世界を救うのじゃ!」「いや、待ってくださいよ。何を言ってるんですか?」そう言い返した僕の前に、黒い霧のような怪物が迫ってきた。目の前...
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#217 夢屋ユメコ

「こちら、お客様の今夜の夢チケットになります」カウンターの奥から女性が差し出してきたのは、淡いピンク色の厚紙だった。“初恋リピート夢:シナリオ型/記憶連動モード/時間:90分” と印字されている。夢を選んで眠る。それは今や、都会で働く人々の...