ほっこり

ちいさな物語

#450 幻の灯火亭

冒険者ギルドの中では有名な噂があるんだ。「幻の料理屋」ってやつさ。たどり着ける人間だけが味わえる、特別な料理を出す店。信じるやつはほとんどいない。けど、一部の古参冒険者や腕利きの連中が「一度だけ行ったことがある」なんて真顔で語るもんだから、...
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#449 
懐かしい町

「懐かしい町」の話を聞いたことがあるか?地図にもSNSで検索しても出てこない。それなのに口伝で噂は広がっていて、誰かが必ず「ああ、聞いたことある」と頷く。けれど不思議なことに、詳しい情報は誰も語らないんだ。実は俺も、あの町に迷い込んだひとり...
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#446 セルフ化社会

あんたは最近「セルフ〇〇」ってやつをよく聞くと思わないか?セルフレジ、セルフ脱毛、QRコードでセルフ注文するカフェ……最初はその程度だった。人件費削減だの効率化だの言われて、「自分でやる方が早い」って便利がられていた。でもな、気がついたら街...
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#438 神様のお気に入り

それはある日の朝のことでした。目を覚ますと、枕元に白い封筒が置かれていたんです。僕は一人暮らしで、鍵もかけている。誰かが忍び込んだ気配もない。気味が悪く思いながら開けてみると、こう書かれていました。――おめでとうございます。あなたは「神様の...
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#436 不思議な旅の教訓

ひとつの不思議な旅の話を聞かせましょう。あるところに三人の冒険者がいました。けれども彼らは出会ったことがない。互いの顔も名も知らず、それどころか存在すら知りません。一番目の冒険者は、若い剣士でした。彼は古い文献に記された「封印の遺跡」を目指...
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#434 川の大橋ものがたり

むかしむかし、とある里に大きな川が流れておった。その川は流れも早く、雨が降ればすぐに氾濫して、里の人々はたびたび困らされていた。とりわけ川を渡るのが大変でな、舟を使えば流され、泳げば命を落とす。里と里とをつなぐ道はその川でぷつりと途切れてお...
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#430 銀杏並木の迷路

仕事帰り、ふと遠回りしたくなった。駅までの道を逸れて、人気の少ない路地に足を踏み入れた。その先に銀杏並木が広がっている。それは、どこかの有名な観光地みたいに見事な並木道。けれど、人も車もない。まるで世界から切り離されているような静けさだった...
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#424 立会人

立会人という人を、あなたは聞いたことがあるだろうか。それは奇妙な仕事をする人だ。特別何かをするわけではない。ただ立ち会う。受験の合格発表を見に行くとき、初めて入る店の敷居をまたぐとき、夫婦喧嘩や遺産相続の話し合いにすら。彼はただそこにいて、...
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#423 五つの宝と姉弟の旅

今でもあの旅を思い出すと、胸が熱くなるんです。まだ僕と姉が若かった頃の話です。「世界に散らばる五つの宝を集めれば、どんな願いも叶う」――そんな古い伝承を聞いたことがあるでしょう?僕らは、その宝を探す旅に出たんです。理由は単純でした。姉は幼い...
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#410 ファンタジー世界の名探偵

俺の職業は「名探偵」だ。ファンタジー世界では、普通は戦士とか魔法使いとか僧侶とか、そういう職業を名乗る。ところが俺の場合、なぜか職業欄に「名探偵」と書かれていた。最初は笑い者だったよ。「なんだよそれ、ただの冷やかしじゃないか」「モンスター相...