くすっと笑える

ちいさな物語

#097 ポイント人生

目が覚めた瞬間、頭の中に奇妙な声が響いた。──「おめでとうございます。あなたは人生三周目に突入しました」何だ? 俺は、今、生まれたばかりなのか? 意識だけがはっきりしているが、身体は動かない。赤ん坊だからか? いや、違う。手を見れば、しっか...
ちいさな物語

#092 言い訳の数

「被告人、あなたは万引きの罪で起訴されていますね?」裁判官の問いに、被告の男は堂々と答えた。「いえ、あれは不可抗力でした。」「不可抗力?」「そうです。ちょうどその日、私のズボンのゴムが緩んでましてね。歩いていたらスルスルっと下がってきたんで...
ちいさな物語

#089 あさりの味

大好きだったあさりの味噌汁。なのに、もう、あの味がわからない。失われていくのは、味か、それとも——。
イヤな話

#088 並ばない女

コンビニのレジ。横から、ひとりの女がためらいもなく割り込んできた。まるで、そこが自分の場所だと信じきったように。
ちいさな物語

#086 わたしを知っていますか

その日、僕は大きなスクランブル交差点にいた。青信号に変わると、群衆が一斉に動き出す。まるで波のように人が押し寄せ、すれ違い、散らばっていく。そんな中、僕はふと足を止めた。向こう側から歩いてくる一人の女性と目が合ったのだ。一瞬、時間が止まる。...
ちいさな物語

#084 生活実態調査の実態

届いたアンケート結果はデタラメだらけ。なのに、おかしいのは自分だけらしい。ずれているのは、世界か、俺か。
ちいさな物語

#082 究極のピザ

「いや、だからパイナップルはピザに合わないんだって!」「お前の方こそ、アンチョビの塩辛さを理解してない!」僕とルームメイトのケンは、ピザのトッピングについて激しく口論していた。もともとは仲のいい大学の同級生だったのに、この問題に関してだけは...
ちいさな物語

#079 乙女ゲーム化した高校生活にモブの俺がツッコミ入れていきますね

「いやいや、ありえないだろ」俺は隣の席で繰り広げられる光景に、思わずツッコミを入れた。ここはごく普通の高校。そしてこの物語のヒロイン——橘ひまりは、決して”かわいい”タイプではない。見た目は普通、性格はどちらかというと生意気。気分屋の猫みた...
ちいさな物語

#078 行列の先にあるもの

その日、俺は仕事帰りに駅前の広場を通った。いつもなら通り過ぎるだけの場所なのに、今日は何かがおかしかった。――行列だ。ものすごく長い行列ができている。最初は人気のスイーツでも売っているのかと思った。でも、列に並んでいる人たちはみんなスマホを...
ちいさな物語

#071 見たことがある

「もう逃げ場はないぞ!」暗闇にそびえる崖の上、刑事・田村は拳銃を構えて叫んだ。その先に立つのは、指名手配中の銀行強盗犯・柴田。汗だくの顔を歪ませ、肩で息をしながら後ずさる。しかし、もう後ろは崖。ここからの逃亡は不可能だ。「くっ……」柴田は崖...