考えさせられる

SF

#278 防犯カメラの目論見

地元のショッピングモールでは、防犯カメラの異常が頻繁に起きていた。この防犯カメラはAIが搭載された最新型だったが、高級なため、たった一台しか導入されていなかった。深夜、誰もいないフロアで勝手に動き出し、人のいない方向を執拗に見つめるのだ。設...
ちいさな物語

#273 風紋の骨笛

山岳の夕暮れ、言葉の通じない少女を拾った。骨笛と仕草だけが僕らをつなぐ――
ちいさな物語

#271 風の旅路

「どうして私がこんな無計画な男と旅をする羽目になったのだろう」魔道士エルドは深いため息をついた。彼の前で陽気にリュートをかき鳴らしているのは、楽士のジーノ。天性の放浪者である彼は、旅する町々で歌と酒を楽しみながら自由気ままに生きている。一方...
ちいさな物語

#259 ニーチェとフルーチェ

フルーチェを食べているときだけ、ニーチェが話しかけてくる。そんなおかしな現象に初めて気づいたのは、火曜日の午後だった。特に夢もなく、目標もない。大卒なら就職くらいできるだろうと淡々と課題をこなしている自分にとって、フルーチェは唯一の慰めだっ...
ちいさな物語

#256 猫のしっぽの先で世界は回る

世界が猫に支配されているという、馬鹿げた陰謀論を聞いたことはあるだろうか。都市伝説やオカルト話に興味のない人であっても、どこかで一度は耳にしたことがあるはずだ。そう、「猫は世界を裏から操っている」という奇妙な説だ。もちろん、これは単なる冗談...
SF

#255 幸福化社会にて、鳥は歌わず

働かなくていい。食事も、運動も、睡眠すらも必要ない。人工代謝調整、神経伝達最適化、精神恒常性維持装置。技術の進歩によって人間の「必要」はすべて満たされた。娯楽は無限、痛みは除去され、争いも淘汰された。幸福化と名付けられたこの新しい時代の到来...
ちいさな物語

#240 夢の原液を売る店

「ねえ、あれ見た?」そんな噂からすべては始まった。通学路の途中、古ぼけたレンガ塀の裏に、いつのまにか現れていた露店。店というには奇妙で、店員らしき人物もいない。ただ、古い木の台が置かれ、その上に小瓶が並んでいるだけ。野菜の無人販売所といった...
ちいさな物語

#234 はないちもんめ

「かってうれしい はないちもんめ まけてくやしい はないちもんめ」その歌は、ある日、世界中で流れはじめた。テレビでも、スマートスピーカーでも、コンビニのBGMでも。誰もがどこかで聞いたことのある童謡。でも、それが“合図”だとは、最初は誰も気...
ちいさな物語

#230 転生したらパーティにコンビニ店員がいた件

「転生です、おめでとうございます」白い空間で、ローブ姿の女神らしき人がそう告げた。よくある異世界転生モノだ。事故で命を落とした僕は、第二の人生を歩むらしい。「ではスキルを選んでください。剣? 魔法? 錬金術? 他に希望があれば、対応できるか...
SF

#218 新天地の孤独

目覚めた瞬間、僕は凍えるような寒さと眩しい光に包まれていた。意識が少しずつ鮮明になり、ゆっくりと目を開ける。薄暗いキャビンの中、コールドスリープのカプセルが整然と並んでいた。「乗務員ナンバー14、目覚めを確認。おはようございます、アンソニー...