考えさせられる

ちいさな物語

#213 神さまの座布団

これはの、わしのばあちゃんが、そのまたばあちゃんから聞いたという話じゃ。昔々、山のふもとに「木長こなが村」っちゅう、小さな村があったんじゃ。田んぼと畑と、ちょっとした神さまがおるだけの、静かなところじゃった。この村ではな、毎年秋になると「神...
ちいさな物語

#204 魔法少女ミラ、敵待ちの日々

ある朝、目が覚めると、枕元に小さな生き物が座っていた。「きみは選ばれたんだよ! 今日から魔法少女だ!」ぬいぐるみのようなその存在は、声だけは異様に力強い。ぼう然とする僕――ミラに、丸い手が差し出された。「さあ、契約だ!」契約書などなかった。...
イヤな話

#196 理想の職場

「ここが、『理想の職場』だよ」そう言われてドアを開けた瞬間、僕は思った。……臭う。いや、においではない、雰囲気が臭う。なんだこれは。「ようこそ新入り!」金髪リーゼントでガムをクチャクチャしながら近寄ってきたのは、田中課長だ。初対面で肩パンさ...
ちいさな物語

#191 呪いのラリー

最近、どうも体調が悪い。夜眠れず、食欲もない。朝起きると必ず部屋に長い髪の毛が散らばっている。自分の髪ではない。職場でそのことを話すと、後輩が冗談交じりの口調で「それ、呪われてるじゃないですか?」と言いだした。そんな非現実的なことは信じてい...
ちいさな物語

#188 呪われた黄金都市

「空からお金が降ればいいのに」少年の願いは叶い、街に黄金の雨が降りそそぐ。やがて、それは止まらなくなった。
ちいさな物語

#186 風の市と少年

「まるで自分の影とだけ話しているみたいだった」市でよく見かける女は、彼をそう表現した。レアという名の少年が風の市に現れたのは、南の草原に乾いた季節風が吹きはじめる頃だった。市といっても常設の町ではない。風が止んだときだけ開かれる移動市で、誰...
ちいさな物語

#180 大きな町と小さなドア

その町には、「小さすぎるドア」があった。壁のように広がる白い建物の中央に、子どもでも肩をすぼめなければ通れないほどの、異様に狭い扉。誰もその先を見たことがない。なぜなら、その町に暮らす人々は、みなとても大きかったからだ。大きい——それは体格...
ちいさな物語

#178 君を観測するまで、君は存在しなかった

ぼくは、毎朝同じ夢を見る。灰色の霧が立ちこめる部屋。窓の外にはなにもない。ただ、光のようなものが、ぼんやりとそこにあるだけ。その部屋の中央に、彼女は座っている。黒髪の、透き通るような肌の、憂いを含んだ目をした少女。名前も、年齢も、なにもわか...
ちいさな物語

#175 わかりやすいご利益のある神社

ご利益が“メニュー表”で示された神社。10円から願いが買える、やたら話の通じる神様を訪ねてみると——。
SF

#166 隕石から生まれたもの

ある朝、庭に見知らぬ隕石が落ちていた。拳ほどの大きさのそれは、奇妙に脈動しており、気持ち悪いので触る気になれず放置していた。数日後、その気持ち悪い隕石が割れて何かが生まれてきた。それは透明でゼリー状のアメーバみたいなものだったが、僕がそれを...