考えさせられる

ちいさな物語

#153 魔王城の案内人

僕は魔王の城への案内人だ。物心ついたときには、すでにそういう『設定』だった。僕は城の入り口で冒険者を待ち、魔王のもとへ案内する。「ここから先は危険ですよ。引き返すなら今のうちです」と、声をかけても、大抵は聞いてもらえない。命を賭して、ここま...
SF

#151 月の民宿

月面の端っこで、私たち家族は小さな民宿を営んでいる。父と母と私、それからゲツメンシロウサギのミミちゃん。ミミちゃんの先祖は地球のウサギなんだけど遺伝子が組み換えられた人為的な新種なんだって。ここの民宿にお客はほとんど来ない。地球人なんて、な...
SF

#145 星を繋ぐ糸電話

ある夜、空から光る糸電話が落ちてきた。耳を当てると、遠い星に暮らす誰かの声が、かすかに聞こえてくる。
SF

#141 ホーム

◆第8期惑星歴215年・第3恒星航路41日目今日、私は地球に降り立った。この任務に志願したとき、同僚たちは皆、奇異な目で私を見た。「なぜ、あんな無人の星へ?」その理由は私にもよくわからない。ただ、“地球”という響きに、抗えない引力のようなも...
SF

#137 燃やす者

「また燃えてるな、タクミくん」深夜、カズマはモニター越しに、SNSの炎上トレンドを眺めていた。
そこには、またしても“迷惑系YouTuber・タクミ”の名があった。
今度は老人を突き飛ばす動画。笑い声、スローモーション、煽り字幕。
炎上は爆...
SF

#132 一人きりの戦争

僕はこの星に来た最初の人間だった。惑星オルフィス。
この新しい星に、僕以外の人間はいない。
共に暮らす仲間は、すべてアンドロイドだった。僕は特に母親代わりのアンナや祖父のような距離で見守ってくれたエリックが大好きだった。彼らは機械だが、僕に...
SF

#114 星のさざ波

――宇宙の果てには、奇妙なものが転がっている。銀河系を越え、まだ名もついていない星雲を渡り歩く旅商人ルカには、そう確信する理由があった。彼の相棒は陽気なアンドロイド、アーロ。表情こそ微妙にぎこちないが、ジョークのタイミングは抜群で、冷めきっ...
SF

#090 ネオン街のヘンゼルとグレーテル

ナイトシティのスラム街。そこに生きる者は皆、飢えと暴力に耐えながら暮らしている。ヘンゼルとグレーテルも例外ではなかった。「また、食べ物探しに行くの?」妹のグレーテルが、不安そうに兄のヘンゼルを見上げる。「他に生きる道があるか?」二人は孤児だ...
ちいさな物語

#084 生活実態調査の実態

届いたアンケート結果はデタラメだらけ。なのに、おかしいのは自分だけらしい。ずれているのは、世界か、俺か。
ちいさな物語

#082 究極のピザ

「いや、だからパイナップルはピザに合わないんだって!」「お前の方こそ、アンチョビの塩辛さを理解してない!」僕とルームメイトのケンは、ピザのトッピングについて激しく口論していた。もともとは仲のいい大学の同級生だったのに、この問題に関してだけは...