寝る前に

ちいさな物語

#193 散歩の達人

僕の夢はシンプルだった。何か一つの道を極めること。今、目指しているのは散歩の達人。人間の散歩、犬の散歩、どんな散歩でも完璧にこなしたかった。ある日、究極の散歩道があると噂される森を訪れた。入り口には『あらゆる散歩者を歓迎する』という心躍る看...
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#192 手袋、怒りの暴走

冬の公園のベンチに、ぽつんと落ちていた赤い手袋。それは右手だけのさみしい存在だった。「ご主人はきっとすぐに戻ってくる!」片手袋は前向きだった。だが、一日経ち、二日経ち、ついには一週間経っても、彼女の持ち主は姿を見せなかった。通りかかった老婦...
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#188 呪われた黄金都市

「空からお金が降ればいいのに」少年の願いは叶い、街に黄金の雨が降りそそぐ。やがて、それは止まらなくなった。
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#187 自分がドラゴンだと言い張る猫

うちの猫、タマが突然言葉を話し始めた。猫あるあるなんだけど、タマがじぃっと俺を見ている。こういうときは何か要求があるときだ。「タマちゃ〜ん、どうちたの? ちゅ〜る欲しいの?」猫バカな俺はタマの頭をなでながら、抱きあげた。健康のためにおやつの...
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#185 妖精の願いごと

駅へと続く細い道を歩いていると、道端に潰れかけたペットボトルが転がっていた。普段なら気にも留めないけれど、その日はなぜか、そのボトルがやけに輝いて見えたのだ。妙に気になって、拾い上げてみる。ペットボトルの中を覗くと、小さな光が揺れていた。驚...
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#184 あの人の話

「なあ、覚えてるか? ほら、あの人。あの喫茶店にいた、なんてことないけど、不思議と気になる感じの人」そう言うと、この町の年の近いやつは、大抵みんな、少し笑ってうなずく。名前を出さなくても通じるんだ。あの人は、そういう人だった。初めて会ったの...
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#183 山のちからくらべ

向かい合う二つの山が、どちらが立派かと言い争う。霧を吐き、花を咲かせ——むかし語りのやさしい寓話。
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#182 千年の庭

この国では、生まれた家の庭にどんな木が生えているかで、人の力が決まる。紅葉の家系は火を扱い、柊の家系は霊を祓う。だがその力は、木の状態によって左右されるため、庭木の世話は代々の重要な務めだった。ユウトの家の庭には、樹齢千年を超えるかしの巨木...
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#181 モンスター退治の経費計算

それは、黄金月の12日だったかのう。王都を騒がせていた大空の火竜・バルバルガを、ついに倒したってニュースが広まったんじゃ。倒したのは、五人組の冒険者パーティ「煌滅旅団ルミネグラ」——
剣士に魔法使い、僧侶に盗賊、あと何を間違ったのか、会計士...
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#179 生贄募集、時給1500円〜(交通費支給)

「生贄バイト、急募。時給1500円〜。未経験歓迎」そんな求人広告を見たタケル(28・フリーター)は思った。「なんか宗教系っぽいけど、時給いいし、とりあえず応募しとくか」面接会場は宗教法人なんたらと書かれた怪しげな事務所。面接官は無言で壺を磨...