ぞわっとする

ちいさな物語

#203 コンビニ迷宮

深夜二時、急に甘いものが食べたくなって、近所のコンビニへ向かった。住宅街の端にある、小さな店。通い慣れた場所だった。自動ドアが、いつもの電子音を立てて開く。けれど、妙だった。店員の姿が見当たらない。深夜ならバックヤードにいるかもしれない。こ...
ちいさな物語

#199 赤信号の理由

夜勤明け、午前3時。住宅街を抜ける細い道にある、三叉路の信号。小さな交差点なのに、なぜか夜中でもちゃんと動いている。だが、不思議なことに、そこに差しかかるといつも赤信号なのだ。誰もいない。車も通らない。なのに赤。ひたすら赤。そしてかなりの時...
イヤな話

#196 理想の職場

「ここが、『理想の職場』だよ」そう言われてドアを開けた瞬間、僕は思った。……臭う。いや、においではない、雰囲気が臭う。なんだこれは。「ようこそ新入り!」金髪リーゼントでガムをクチャクチャしながら近寄ってきたのは、田中課長だ。初対面で肩パンさ...
ちいさな物語

#191 呪いのラリー

最近、どうも体調が悪い。夜眠れず、食欲もない。朝起きると必ず部屋に長い髪の毛が散らばっている。自分の髪ではない。職場でそのことを話すと、後輩が冗談交じりの口調で「それ、呪われてるじゃないですか?」と言いだした。そんな非現実的なことは信じてい...
ちいさな物語

#190 掛け軸の中から

祖父が亡くなり、古い家を整理していると一幅の掛け軸が出てきた。
墨で描かれた山水画。穏やかな山々と静かな川の流れが広がり、遠くには霞がかかっている。なかなか見事で美しい軸だった。しかし、その掛け軸を掛けて以来、夜になるとどこからか水の音が聞...
ちいさな物語

#173 後ろ向きの写真

全員が背を向けて写る、古い家族写真。「この中の一人と目が合ったら死ぬ」——祖母はそう言い遺していた。
ちいさな物語

#172 選択肢の多い料理店

薄暗い夜道で空腹を抱え歩いていると、真新しい料理店を見つけた。ネオンの看板には「セルフサービスレストラン」と書かれている。入り口は無人で、自動ドアをくぐると、中には無機質なタッチパネルが並んでいた。僕は空腹に急かされ、画面をタップした。『よ...
イヤな話

#156 編みもやし

最初に「編みもやし」を見たのは、テレビの料理番組だった。「今、大流行の編みもやし! もやしを編んで料理すると、驚きの食感に!」そう言いながら、司会者が皿を掲げた。画面には、見たこともない奇妙な料理が映し出される。細いもやしが編み込まれ、綺麗...
イヤな話

#155 鳥型ドローンのもたらしたもの

これは、数年前の話なんだけどね――そう、あの頃はちょうどドローン作りにハマっててさ。よくある市販のドローンなんて面白くないから、自分でリアルな鳥そっくりの「リモコンバード」を作ったんだよ。羽ばたきも完全再現。知らない人が見たら、絶対本物と区...
ちいさな物語

#149 幽霊のお仕事

あんた、幽霊の仕事って聞いたことあるか? いや、本物の幽霊じゃない。あ、幽霊っちゃ幽霊なんだけど――説明が難しいな。とりあえず、俺は死んだ。でもそのまま成仏せず、心霊スポット専門の幽霊として働いてるっていったらわかるかな。仕事内容は簡単だ。...