ぞわっとする

ちいさな物語

#172 選択肢の多い料理店

薄暗い夜道で空腹を抱え歩いていると、真新しい料理店を見つけた。ネオンの看板には「セルフサービスレストラン」と書かれている。入り口は無人で、自動ドアをくぐると、中には無機質なタッチパネルが並んでいた。僕は空腹に急かされ、画面をタップした。『よ...
イヤな話

#156 編みもやし

最初に「編みもやし」を見たのは、テレビの料理番組だった。「今、大流行の編みもやし! もやしを編んで料理すると、驚きの食感に!」そう言いながら、司会者が皿を掲げた。画面には、見たこともない奇妙な料理が映し出される。細いもやしが編み込まれ、綺麗...
イヤな話

#155 鳥型ドローンのもたらしたもの

これは、数年前の話なんだけどね――そう、あの頃はちょうどドローン作りにハマっててさ。よくある市販のドローンなんて面白くないから、自分でリアルな鳥そっくりの「リモコンバード」を作ったんだよ。羽ばたきも完全再現。知らない人が見たら、絶対本物と区...
ちいさな物語

#149 幽霊のお仕事

あんた、幽霊の仕事って聞いたことあるか? いや、本物の幽霊じゃない。あ、幽霊っちゃ幽霊なんだけど――説明が難しいな。とりあえず、俺は死んだ。でもそのまま成仏せず、心霊スポット専門の幽霊として働いてるっていったらわかるかな。仕事内容は簡単だ。...
イヤな話

#147 近すぎる叔母

「昨日、デート楽しかったんでしょ? あの人、いい感じ?」近所に住む叔母が不意に私に聞いてきた。驚きで喉が詰まった。確かに昨日、初めてのデートだったが、誰にも話していない。「どうしてそれを?」叔母はいたずらっぽく笑っている。「そんなのすぐわか...
ちいさな物語

#144 夜の司書

「また本が動いてる……」夜勤の警備員になって三日目、私は震えながら監視モニターを指差した。画面に映るのは閉館後の公共図書館。暗闇の中、棚から本が静かに抜け出し、ひとりでに別の場所へと動き始めている。誰もいないはずなのに。数日前から、この図書...
ちいさな物語

#136 事故物件専門不動産屋

「どんな事故物件でも取り扱っております」そう掲げた小さな不動産屋に、またひとり奇妙な客が現れた。細身で色白、瞳の奥に妙な光を宿した男。彼は入ってくるなり、まっすぐ店主・長谷川を見つめて言った。「事故物件、できるだけヤバいやつを」長谷川は慣れ...
ちいさな物語

#129 感染する怪談

「この話を聞いたら、お前も同じ目に遭うよ」そう言って、友人の中村は妙に真剣な顔をした。「……何の話だよ」「伝染する怪談さ」久しぶりに学生時代の友人たちと飲み会を開いた。帰り道、深夜の公園のベンチで、俺と中村は二人で酔いざましと称してぐだぐだ...
ちいさな物語

#121 行灯さま

お前さん、どうせ退屈してるだろう。待っている間、昔話でも聞かないかい?ほら、耳を貸してごらん。むかしむかし、ある嵐の夜の話さ。山奥で暮らす若者、名前はタロって言ったかな。そいつが猟に出て、帰り道で道に迷っちまった。風がビュウビュウ吹いて、木...
ちいさな物語

#119 隣の家の花

俺が住んでいるのは、普通の住宅街だ。静かで、のどかで、特に変わったこともない。そう思っていた。あの花を見るまでは。隣の家の庭には、大きな花が咲いている。鮮やかな赤色で、肉厚の花びらが妙に生々しい。南国のジャングルに咲いていそうなイメージだ。...