ぞわっとする

ちいさな物語

#390 ソロキャンプの怪

動画配信者のKは、最近急激に人気を伸ばしていた。彼のスタイルはソロキャンプの生配信。焚き火を起こし、料理を作り、視聴者のコメントに答えながら一日を過ごすというだけのシンプルなものだ。「はいどうも、今日は山奥の渓谷沿いでソロキャンでーす」カメ...
ちいさな物語

#389 親ガチャアプリ

〈親を引き直しますか?〉——冗談半分で押したボタンが、本当に人生をリセットしてしまう。残り、あと一回。
ちいさな物語

#385 日記に書いた昨日

なんでこんな状態になっているかって? とりあえず話を聞いてよ。俺さ、昔から日記をつける習慣があったんだよ。――といっても、几帳面な性格とかそういうんじゃなくて、単純に数年後とかに見たらおもしろいし、備忘録になるかな、くらいの感覚なんだ。夜寝...
ちいさな物語

#381 消えた友達の話

これから話すのは、俺が小学校5年生のときに体験した、ちょっと不思議で気味の悪い話だ。別に作り話なんかじゃなくて、本当にあったこと――なんだけど、信じてもらえないだろうな。まあ、とりあえず聞いてよ。その日は、クラスのみんなが楽しみにしていた遠...
ちいさな物語

#375 四人目のわたし

夏休みの終わり、私たち小学生四人は、友達の家に集まってお泊まり会をしていた。部屋の床に敷かれたふかふかのクッション、コンビニで買ったお菓子、ポテトチップスの袋、ジュースのペットボトルが散らばる。夏休みだからこそ許される贅沢。いつもなら恋バナ...
ちいさな物語

#374 花火大会の奇談

もしよかったら、ちょっとだけ私の話を聞いてくれませんか。あの夜、今でも夢か現実か分からないくらい、不思議で忘れられない出来事だったんです。もう何年も前の夏、私は2歳になったばかりの息子を連れて、市の花火大会へ出かけました。夫は数年前に事故で...
イヤな話

#373 沈黙のランチ

昼休みのチャイムが鳴ると、私はパソコンを閉じる。ミユキがこちらに歩いてくるのが視界の端に見えた。予想通り、「ランチ行こ」の声。断ろうと思えば断れたのだろう。でもそれも面倒くさかった。ミユキは部署のムードメーカーだとみんな言う。人当たりがいい...
ちいさな物語

#371 親切の記憶

すべては仕事帰りの夜だった。今日は妙に体が重かった。コンビニでビールでも買って帰ろうか――そう考えながら、駅から家までの道を歩く。湿った夜風が頬にまとわりつき、足取りは自然と遅くなっていた。そのとき、通りの向こうで何かが動いた。薄暗い街灯の...
ちいさな物語

#370 台所にいるもの

ちょっと……なんというか、地味な話なんだけど、それでもいいかな。あれは、去年の夏の終わりだったと思う。夜中に喉が渇いて、私は水を飲みに台所へ降りた。家の中は蒸し暑く、外の虫の声が障子越しに響いていた。台所の電気はつけなかった。月明かりが窓か...
ちいさな物語

#365 バグに気づくな

大学を出て、久しぶりに地元に戻ったのは夏祭りが近い頃だった。懐かしい町並みに、見慣れないカフェだけがひときわ目立っていた。ふと立ち寄ったその店で、俺は信じられない光景を目にした。カウンターでアイスコーヒーを注文しているのは、高校時代に交通事...