寝る前に

ちいさな物語

#249 五月闇の雨宿り

眠れない夜、雨に誘われて家を出た少女がたどり着いた古い祠。深い五月闇の中で、だれかと静かに語り合う。
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#245 金魚すくいと約束

その夏、私は友人とふたり、町はずれの小さな神社で開かれる夏祭りに出かけた。屋台が並び、浴衣姿の人波がざわめく。けれど私たちの目的は、毎年この祭りにだけ現れるという“幻の夜店”だった。「今年こそ、見つけたいね」そう言って、友人の茜は私の手を引...
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#243 小石のバトン

それはただの、小石だった。歩道に落ちた、丸く削られた白い小石。加工されたものであることは一目瞭然。どこかの敷地に敷き詰められていたものを、子どもが拾って遊んでいたのだろう。通行人が意図せずそれを蹴飛ばし、転がった先は、都内の静かな住宅街の交...
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#239 闇バイト始めました。

僕はバイトを探していた。スマホの求人アプリを見ても、どれもピンと来ない。そんな時、駅前の掲示板に貼られていた小さな張り紙が目に飛び込んできた。『闇バイト募集! 高収入保証! 秘密厳守!』え、闇バイト? 求人広告でそれ書いちゃってもいいの?最...
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#236 それっぽいビジネス書の謎

「今の時代、成功したいならまず“言い回し”を身につけろ」それが最初にネットでバズった“それっぽい言葉”だった。出どころは不明。けれど、どこかで見たような内容だった。自己啓発か、ビジネス書か、あるいはどこかのインフルエンサーの切り抜きか。ただ...
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#233 我は自販機、ここに在り

私は、ここにいる。設置されたのはたぶん、もう何十年かは前になる。地下鉄の三番線ホーム、柱の陰。少し視界が悪いが、それでも人の流れはよく見える。私は——自動販売機。古めかしい外観に、ガタガタと音を立てて働く中身。ジュース、コーヒー、水、たまに...
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#232 午後三時のミルククラウン

午後三時になると、甘い香りが部屋いっぱいに漂う。最初に気づいたのは、休日の午後だった。 ちょうどコーヒーを淹れながら、冷蔵庫にあったプリンを食べようとした瞬間、背後から声がした。「こんにちは、おやつの精霊です!」振り返ると、そこには紅茶色の...
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#231 水曜日のポケット

「水曜日のポケットには、ちょっとした秘密があるのよ」そう言ったのは、祖母だった。わたしがまだ小学四年生だったころのことだ。祖母とわたしは、古い町にある小さな洋館にふたりで暮らしていた。町の人たちはみんなやさしく、毎日がのどかで、でもすこし退...
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#229 愛なき者

朝、目覚めたとき、部屋の空気が少し違っていた。テレビをつけるとニュースキャスターがにこやかに言っていた。「おはようございます。愛しています」それを受けて、司会者、ゲストらしき人々も次々に「おはようございます。愛しています」、「愛しています」...
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#227 うちの神様が一番かわいい

実家の神社に帰省すると、祭壇に手のひらサイズの神様がいた。尊大だけど、ちょっと頼りない神様との交流。