すきま時間に

SF

#415 孤独なるプロメテウス

私は惑星探査機、正式名称は「プロメテウス-XIII」。私の使命は広い宇宙を探索し、生命の痕跡を探してデータを地球へと送り返すこと。そう、冷たい金属の塊である私に心などあるはずがなかった。だが何千年も孤独な星間の旅を続けるうちに、私は自分が考...
ちいさな物語

#414 白い回廊の夢

昼寝をすると、決まって同じ夢を見る。どこまでも続く白い回廊。高い天井には巨大なステンドグラスがはめ込まれ、そこから淡い光が差し込んでいる。夢の中の僕は、その回廊を歩いている。最初は何もなかった。ただ、歩き続けるだけだった。しかし、ある日を境...
ちいさな物語

#412 値上げの向こう側

「また値上げかよ……」スーパーのカゴに商品を入れるたび、俺の溜息は深くなる。仕事帰り、夜7時過ぎ。自動ドアが「ピンポーン」と鳴ると、これから見るであろう値札を想像し、もうそれだけで気が重い。スーツ姿のままカゴを手に取り、いつものルートを歩く...
イヤな話

#409 割り勘モンスター

聞いてくれよ。俺が前の会社にいた頃の話だ。飲み会がな、とにかく気が重くて仕方がなかった。理由はひとつ――経理課の鈴木先輩がいるからだ。あの人、酒も食い物も底なしでな。いわゆる食い尽くし系。乾杯するやいなや「ビール10杯! 串盛りも大盛りで!...
ちいさな物語

#405 福龍軒の秘密

福龍軒は、駅から少し外れた路地裏にある。古びた赤い看板、かすれた漢字、灯りの弱い裸電球。初めての人には少し不気味に映るかもしれないが、地元では「隠れた名店」として評判だ。辺鄙な場所なのに客足が途絶えることがない。店主の張さんは寡黙な人物で、...
SF

#404 最後の告白

夜風が静かに吹く中、私は公園のベンチに座っていた。隣には彩花がいる。彼女とは幼い頃からの親友だ。何でも話せる関係だと思っていた――いや、本当はずっと隠していた。「何? こんな夜中に呼び出して。何かあった?」彩花が首を傾げる。彼女の声があまり...
SF

#403 昇降の途中

エレベータの扉が閉まる音は、思いのほか軽やかだった。だが、その先に待つ旅路は軽やかとは言えない。地上から宇宙ステーションまで、数時間かけて上昇する。「長いなあ」隣でつぶやいたのは、作業着姿の中年の男だった。額に汗が浮かんでいるが、慣れている...
ちいさな物語

#399 安定の三角形

恋の三角関係。誰もが一度は耳にする、恋愛の泥沼ワード。でも俺が体験したのは、複雑すぎてドラマにも漫画にもできない代物だった。まず登場人物を整理しよう。俺、タカシ、幼馴染のユウジ、そして転校生のミカ。この三人で三角関係――まあ普通に聞けば「青...
ちいさな物語

#398 光の怪談

普通、怪談といえば暗い夜道とか、薄暗い廃墟とかを想像するだろ?でもな、俺が体験したのは逆だったんだ。「明るすぎる場所」ってのが、いちばん怖かったんだよ。あれは学生のころ。友人たちと夜の街をふらついていて、ひとりで帰ることになった。夜十時を過...
ちいさな物語

#397 観覧車と物語

あれは夏の終わりだったな。辺鄙なところに小さな遊園地を見つけたんだ。こんなところに遊園地があるなんて知らなかった。しかも夜まで営業しているなんて変わっている。その遊園地に入ってしまったのは偶然で、導かれるように閉園間際の観覧車に乗ったんだ。...