気分の棚|やさしい不思議な話

不思議だけど怖くない、ふしぎ系の8本。
読み終えたあと、世界がほんの少しやさしく見える話を集めました。

この棚の8本

#145 星を繋ぐ糸電話
ある夜、庭で星空を眺めていると、ふと空から何かが落ちてきた。地面に落ちたのは、懐かしい紙コップの糸電話。だが、その糸は細く光り輝き、どこまでも空に向かって伸びているように見えた。「何だろう、これ?」私は不思議に思いながらも耳元にコップを当て...
#122 祖父のビー玉
祖父が亡くなった後、古い木箱の整理をしていると、小さな布袋が出てきた。中には、ひとつのビー玉が入っている。透明なガラスの中に、ゆらめく青と緑の渦が閉じ込められていた。なぜか惹かれてそれを手に取ってみる。そして何気なくのぞき込んだ瞬間、息をの...
#123 青い鳥
「おい、見ろよ!」友人のツヨシが興奮した声で俺を呼ぶ。指さした先にいたのは――青い鳥だった。ただの青じゃない。夜明け前の空のような深い青、青い炎のように揺らめく羽。その存在感は現実味がなく、まるで絵本の中から飛び出してきたみたいだった。「マ...
#568 失せ物国境検問所
その銀のボタンは、単に糸が解けて転がっていったわけではなかった。糸は不思議としっかり縫い付けてある。ボタンだけが忽然と姿を消していた。コートの顔ともいえる襟元に輝いていた、あのボタンがなくては意味がない。私はその日、部屋のすべての家具を動か...
#048 パン窯の神様
あ、ちょっと不思議な話があるから聞いてくれよ。家業のパン屋を継いで5年になるけど、あの日ほど気味の悪い思いをしたことはない。毎朝、夜明け前に仕込みを始めて、窯の火を起こすのが日課だ。うちの自慢はこの窯でじっくりと焼きあげたふっかふかの食パン...
#197 逆さまの雪
その町では、雪が降らない代わりに、雪があがるという。最初にその話を聞いたとき、私は冗談か、あるいは詩的な比喩のようなものだと思った。だが、列車を降りたその瞬間、私はそれを目撃した。駅のホームで立ち止まり、思わず空を見上げた。確かにそれは、地...
#266 虹を捨てる場所
「虹ってさ、古くなったらどうなるんだろう?」ある雨上がりの午後、学校の帰り道で、リナがふと呟いた。隣を歩いていたカナは怪訝な顔をして首を傾げる。「虹が古くなるって、どういう意味?」リナは空を見上げながら答えた。「だってさ、虹が消えたあと、そ...
#175 わかりやすいご利益のある神社
その神社は、いわゆる人ぞ知る存在だった。山の中腹、朽ちかけた鳥居をくぐり、急な石段を上った先に、ぽつんとある。観光案内所の地図にも載っていないし、グーグルマップでも「神社」としか出ない。神社マニアの僕だから存在に気づいたようなものだ。だが、...

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