どんでん返し、ぞわっとする読後感、いつまでもざわめきが残る——そんな8本。
眠る前にはおすすめしません。
この棚の8本

#003 そっとしておけば
薄暗い蔵の片隅に、埃を被った古い木箱が置かれていた。箱の表面には奇妙な紋様が彫られ、鍵穴には古びた錠が掛かっている。この蔵を相続した青年直人は、祖父の遺品を整理している最中にその箱を見つけた。箱には紙切れが貼られ、「決して開けるな」とだけ書...

#002 永遠の月曜日
月曜日の朝、吉田は重い体を引きずるようにしてオフィスに向かった。週末は一瞬で過ぎ去り、気づけば始まる憂鬱な1週間。今週もまた、終わりの見えない残業と上司の叱責が待っているに違いない。「これがまだまだ続くのか……」まだ二十代の吉田にとって先は...

#084 生活実態調査の実態
ある日、俺のスマホに一通のアンケート結果が届いた。「全国100万人が答えた生活実態調査」なんとなく興味が湧き、結果を眺めてみる。すると、開いた瞬間、思わず「は?」と声を漏らした。——「朝食にワニの肉を食べる人、78%」嘘だろ? そんなものス...

#088 並ばない女
コンビニのレジに並んでいたときだった。俺の前には三人、後ろにも二人。昼時だから多少待つのは仕方ない。そう思っていた矢先——横から女がスッと入り込んだ。彼女は一瞬の迷いもなく、まるでそこが自分の当然の場所であるかのように、俺の前に立った。「お...

#069 不可解な裁判
気がつくと、俺は法廷に立っていた。傍聴席には、黒ずくめの人々が並び、静かにこちらを見ている。検察官は痩せた男で、深い皺の刻まれた顔をしていた。判事はというと、裁判官席で何やら書類を眺めている。ここからは何が書いてあるのか見えないが、膨大な量...

#173 後ろ向きの写真
祖母が亡くなった日、母と私は遺品整理で慌ただしくしていた。祖母の家は古くからある日本家屋で敷地はとても広い。一日では片付かないため数日間の泊まりがけだ。学校は春休みなので、田舎の空気を吸いに行くくらいの軽い気持ちで同道した。その日、私は一人...

#447 街灯の下の影
あれは俺が夜勤に向かうために歩いていたときのことです。街灯って、日が暮れて空が暗くなると自動で点きますよね。あの瞬間にね、妙なものを見てしまったんですよ。ある日の夕方、駅への細い道を歩いていたんです。商店街から外れた裏通りで、人通りはほとん...

#606 部屋にいる人
四歳の息子、陽太が保育園から一枚の画用紙を持ち帰ってきた。白い紙の真ん中には、クレヨンで描かれた二人の人物が手をつないで笑っている。「上手だね、陽太。これ、ママと陽太?」私が尋ねると、陽太は誇らしげに頷いて「うん!」と元気よく答えた。離婚し...
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