気分の棚|寝る前に読む話

童話のようにやわらかく、安心して眠れる読後感の8本。
寝る前のお供にどうぞ。

この棚の8本

#272 おじいちゃんのペットドローン
「ペットがドローンなんて、冗談じゃない!」そう言って祖父がドローンに箒を振り回したのは、つい三か月前のことだ。世間では、ドローンがペットとして急激に流行りだしていた。猫型や犬型のロボットとは違い、ドローンはあくまでもドローンの形をしている。...
#135 山の神様とおむすび畑
昔々、ある山のふもとの村での話じゃ。その村は山深くての、猟師の獲物になる獣や山の恵みもあって、年中食べ物に困ることはなかった。しかし、ある年、大きな干ばつがあったそうな。畑は枯れ果て、米も野菜も取れなくなり、たのみの山の恵みもさっぱりで、村...
#183 山のちからくらべ
これはの、はるか昔の話じゃ。今じゃもう、誰も知らんような時代、山にも気持ちっちゅうもんがあったんじゃよ。いや、今もあるが、人間の方に感じる力がのうなったんじゃ。あるところに、二つの山が向かい合っておった。ひとつは背の高いおおたけ山(おおたけ...
#227 うちの神様が一番かわいい
大学の夏休み、久しぶりに実家の神社へ帰省した。「おかえり、悠斗」母が穏やかな笑顔で迎えてくれる。境内の掃除や参拝客の対応に追われる両親の姿は昔と変わらない。しかし、ひとつだけ僕が知らなかったことがあった。それは、うちで祀っている神様について...
#249 五月闇の雨宿り
梅雨入りしたばかりの夜は、やわらかいはずの町の灯りさえ、空に溶けていく。空は厚い雲でふさがれ、月も星も気配すらない。空からは細く長い雨がしきりに降りそそぎ、町全体が水のヴェールで覆われているようだ。この時期の夜を、「五月闇」と呼ぶらしい。た...
#601 多すぎた祝福
王子が生まれた夜、王城の塔という塔に灯りがともされました。そして百年ぶりの王子誕生を祝うため、国中の妖精が招かれたのです。普通なら十人、多くても二十人ほどです。ですがその年は豊穣の年で、妖精たちも上機嫌で気前よく王子の祝福に訪れました。その...
#165 老婆の井戸と願いごと
昔むかし、山間の小さな村に、不思議な老婆がおった。
村外れの古い井戸のそばに住んでおっての、井戸を覗き込む者にこう言うんじゃ。「あんた、願いごとを叶えてやろうかの?」じゃが、その願いごとを叶えるには、大切な何かを差し出さねばならんかった。あ...
#254 星の卵を孵す方法
星の卵を飼うことにした、とエリが言ったとき、周りの誰もが不思議そうな顔をした。「星の卵って何?」母親が朝食のパンを焼きながら聞くと、エリは得意げにバッグの中から透明な水晶のようなものを取り出した。手のひらにすっぽり収まるサイズで、卵といえば...

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